◆秋季大会静岡県予選代表決定戦 浜名0―5掛川西(24日・浜岡球場)

 代表決定戦と敗者復活戦の計13試合が行われた。掛川西は浜名を5―0で下し、2年連続県大会出場を決めた。

1998年夏の甲子園準優勝投手を父に持つ古岡都暉(とき、2年)が、4安打無四球で公式戦初完投初完封を飾った。

 名門の新エースが、マウンドで躍動した。新チーム公式戦初戦で掛川西の右腕・古岡が、4安打無四球で完封劇だ。わずか103球で相手打線を料理。「初戦で緊張したけど、力に変えることができました」。初めて背番号1を着けた公式戦2度目の先発マウンドで、初完投初完封を成し遂げた。

 初回2死三塁のピンチを乗り切ると、波に乗った。2回以降はテンポよく「前半は点を取られてもオッケーぐらい楽な気持ちで臨んだ」。走者が出ても慌てることなく後続を打ち取っていった。

 父は甲子園準V左腕の基紀さん。1998年夏の決勝で松坂大輔を擁する横浜と対戦した京都成章のエースだった。6試合計852球を一人で投げ切った力投型の左腕とは対照的に、古岡ジュニアは右スリークオーターから切れのいいボールで相手を封じた。

大会前は調子が今ひとつだったが、フォームを微調整。「右の股関節に体重を乗せて腕を振ることを意識しました」。見違える投球で、2年連続の県切符を引き寄せた。

 中大を経て、社会人のヤマハで活躍した父は、現在、仕事の関係で中国に単身赴任中。年に2回ほどしか帰国しないが、「投手はマウンドでは一人だけ。責任感を持って投げなさい」という小さい頃からの“金言”を胸に、息子は最後まで一人で投げ切った。

 連覇を狙った今夏は4回戦で御殿場西に敗退。スタメンのほとんどが3年生で、新チームはほぼ総入れ替え。「力がないのは分かっている。その大事な初戦で前チームから投げている古岡が完投してくれたのは大きい」。基紀さんと同じ松坂世代で、掛川西の主将として98年夏の甲子園に出場していた大石卓哉監督(45)がエースの好投を喜んだ。父に「甲子園はみんなが目指す聖地。

いいところだぞ」と、言われて育ってきた古岡は「秋の目標は東海優勝です」と、キッパリ。父が輝いた甲子園の切符を自らの右腕でつかみ取る。(塩沢 武士)

 ◆古岡 都暉(ふるおか・とき)2008年5月21日、浜松市生まれ。17歳。小2の時に、浜松ドリームアローズで野球を始める。曳馬中から掛川西に進学。178センチ、69キロ。右投右打。家族は両親と弟。

 〇…浜松南は袋井商に8-1(7回コールド)。1番・裏見俊太朗捕手(2年)が攻守で活躍し、11年ぶりに県大会出場を決めた。初回に安打で出塁し、先制ホームを踏むと、守っては背番号11の先発・中村啓人(2年)を好リード。

「格好つけて、俺を信じて投げてこい、と言いました」と笑顔。選手15人、グラウンドにマウンドがなく練習試合はすべて遠征という環境で快進撃。次は上位決定戦で常葉大菊川と対戦する。「全員で泥くさく戦いたい」と、力こぶをつくった。

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