◇第77回全日本大学準硬式野球選手権大会 ▽決勝 中大5―2立大(24日・円山)

 両手を高々と突き上げたその表情は晴れやかだった。8回途中からマウンドに上がり、9回を締めたエース・大山北斗(4年=興南)。

「2年連続で最後を任せてもらえてうれしい」と昨年に続き、今年も胴上げ投手となった。今大会に向け12kgほど体重を増やし、球速と安定したコントロールを追求。球質も投球術も成長した姿を見せつけた。

 初戦から厳しい戦いの連続だった。1回戦は10年連続出場の中京大。続く2回戦は関東王者の明大、3回戦は昨秋リーグ戦の王者・国士舘大。準決勝は、昨年の全日本大会ベスト8で今年の関西選手権を制覇した同志社大。かつてないほど過酷な道のりを制した。大山は「最初トーナメント表を見たとき絶望しました」と振り返ったが、「強い相手を倒して優勝したらより意味がある」と、準硬式野球人生の集大成を連覇で飾った。

 かつて小泉監督自身も、2連覇を目指した時の主将。のしかかる重圧や、苦しみは経験してきた。だからこそMVPにあげたのは、精神的支柱としてチームを支えた相野七音主将(4年=花巻東)だ。

全日本大会が近づき、もがき苦しむ姿は監督の目にもしっかりと焼き付いていた。

 相野主将がキーポイントにあげたのは、春の関東大会で敗れた明治との3回戦。「同じ相手に2度は負けられない」と、王者の意地を見せた。練習から、学年の壁をなくしミスを強く指摘しあえるチーム作りで一体感が生まれ、“4年生のために”と結束力が強まった。「自分たちの野球をしていれば絶対に負けない」意識をチームに植え付け、絶対王者を大会連覇に導いた。

 奇しくも前日23日には、小泉監督の母校である沖縄尚学が夏の甲子園で初優勝。仲間から「次は中大で」とプレッシャーのかかる中、「挑戦できる立場にあったので、なんとか勝利をと意気込んでいた」と、最高の結果に安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

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