巨人の天敵から、いきなり快音を響かせた。泉口友汰内野手(26)のチーム初安打が、両軍計24安打の乱打戦の合図となった。
勢いは止まらない。8回先頭でも、この日で45試合連続無失点とした難攻不落の石井から、外角133キロシンカーを中前へ。試合前まで11打数1安打だった才木、5打数無安打だった石井からHランプをともし、直近5試合で3度目のマルチ。月間34安打はリーグトップと好調のまま8月を走り抜けたが、「最後に打てなかったのが全てです」。9回、1点差としてなお2死満塁で二ゴロに倒れてチームを勝利に導けなかった悔しさだけが残っていた。
開幕2軍からはい上がったブレイクイヤーに、芽生えた思いがある。4月からチームで唯一、離脱もなくレギュラーを守り続け、しびれる場面を幾度となく経験してきた。「必死なのはもちろん変わらないけど、『自分が打っていたら勝てたな』と思えるようになった。それがうれしいんです」。己のバットでつかむのは、明日の出場機会ではなく巨人の勝利。
打率2割9分3厘はリーグトップの小園(広島)に次ぐ2位。出塁率3割5分7厘は大山、中野(ともに阪神)に続く3位につける。すでにシーズン規定打席に達しており、2年目で初のタイトル獲得が現実味を帯びてきている。「数字は最後についてくるもの。チームに貢献することだけを考えながらやってきている」。無欲でシーズン最終盤を駆け抜けていく。(内田 拓希)