◆SATO presents 高校野球女子選抜0―8イチロー選抜 KOBE CHIBEN(31日・バンテリンドーム)

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が率いる「イチロー選抜KOBE CHIBEN」と高校野球女子選抜による「SATO presents 高校野球女子選抜 VS イチロー選抜KOBE CHIBEN」が31日、バンテリンDで行われた。2年連続で参加した松井秀喜氏(51)は、3回に2年連続アーチとなる3ランを放つなど5打点。

イチロー氏は故郷で9回1安打完封、14奪三振の快投を見せ、イチロー選抜が5連勝を飾った。

 51歳の確信歩きに、2万1233人が詰めかけたバンテリンDがどよめいた。右翼席中段に、松井氏が全盛期をほうふつとさせるアーチを運んだ。3回2死一、二塁から先制3ラン。同球場では02年8月17日の中日戦以来23年ぶりの一発に「4番の一振りができた。現役時代でもないぐらいの完璧な当たり。自分が一番びっくりした」と目を丸くした。

 初参加した東京Dで一発を放った昨年から2年連発となったが、試合前フリー打撃では41スイングでサク越えなし。本番で打てたのは左翼席から応援してくれた母校・星稜の吹奏楽部とチアリーダー部の後輩たちのおかげだった。2安打5打点の大暴れに、「星稜コンバットを聴いて感動した。みんな、ありがとう。力をもらいました」と感謝した。

 “長嶋茂雄イズム”を示した。6月に死去した恩師の「球場に来てくれたお客さんに喜んで帰ってほしい」という言葉が耳に残る。守備中に右太もも裏肉離れを起こした昨年の反省を生かし、今年は練習からテープを巻いて予防。ニューヨークの自宅の庭を走り、車庫で打って、長嶋さんの追悼試合のため一時帰国した8月中旬はバットも持参し、ホテルの部屋で素振りした。豪快な一撃に走って守って全力プレー。ミスターの教えを体現した。

 イチロー氏も魅了した。元阪急のブーマーになぞらえ「ヒデマー」と呼んだイチロー氏は「(本塁打は)ないと全員が思っていた。想定外。本当にスーパースター。あの人、ずるいと思います」と絶賛。30日に将来の巨人監督就任の可能性に言及した松井氏に「意味深ですね。

それはファンの人はみんな見たいでしょ。ウチの大事な戦力なのでもうちょっと待って」と“残留”を要請した。

 「ヒデマーは55(歳)までは最低。ニューヨークから大変だけどやってもらいます。確定!」と来年の「4番・中堅」が早くも決定。「やはり野球はドラマがあってやめられませんね」という51歳の松井氏は、少年時代の顔になっていた。(阿見 俊輔)

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