◆JERA セ・リーグ 巨人5―3ヤクルト(3日・京セラドーム大阪)

 巨人がヤクルトに先制パンチを浴びせ連勝した。首位打者争いを繰り広げる泉口友汰内野手(26)が初回に先制2点三塁打を放って、一挙4点の口火を切ると、勢いに乗り2戦連続の猛打賞。

打率3割でリーグトップに立ち、出塁率との2冠に躍り出た。先発の森田駿哉投手(28)は6回2失点で3勝目。チームもカード勝ち越しを決め、3位・DeNAとの差を2・5に広げた。

 前夜に試合を決めた絶好調男のバットが、いきなり火を噴いた。0―0の初回無死一、二塁。泉口が2球目の内角カットボールを振り抜いた打球が右中間を深々と破った。4番に戻った岡本の前で「出塁することだけ考えて打席に入りました」と決勝の2点適時三塁打。2日・ヤクルト戦の8回に貴重な2点をもたらした一打に続く2打席連続三塁打で、自己最長の連続試合安打を14に伸ばした。

 そして4打数2安打で打率を2割9分9厘として迎えた第5打席。「(岡本)和真さんと(吉川)尚輝さんが猛打賞だったんで、最後回ってきたらもう1本打ちたいなと思っていた」と低め139キロスプリットを右前へはじき返し、6月11日以来となる打率3割に乗せた。直近5試合は23打数11安打、打率4割7分8厘の大爆発。3打数1安打の小園(広島)を3厘差でかわして3か月ぶりとなる打率リーグトップに立った。

 前日2日のお立ち台で「産んでくれてありがとうございます!」と今季初の現地観戦だった両親に感謝を伝えた背番号35。試合後にスマホを見ると、2人から別々に「ありがとう」とLINEが入っていた。和歌山・御坊市から車を運転し、片道1時間30分以上かけて足を運んでくれた両親に「気をつけて帰ってね」と返信。これ以上ない親孝行となった。

 パ・リーグで打率5位の中島(楽天)と規定打席には届かずもルーキーで打率2割9分3厘の西川(ロッテ)は実家が「車で5分」の幼なじみ。学年は違えど、3人とも青学大に進学した縁もある。オフにゴルフをともにして、翌年の飛躍を誓い合った3人が、和歌山のブレイクトリオとして躍動している。

 遊撃手が首位打者を獲得すればセ・リーグでは16年の坂本勇人以来、2人目。両リーグを通じても5人目の快挙だ。3割6分2厘の出塁率もトップをキープ。阿部監督は「取り組む姿勢、集中力が素晴らしい。状況判断もしっかりできる」と絶賛した上で「首位打者だとか言われてますけど、まだ20試合以上ありますから。

プレッシャーにならないようにやってあげてくださいよ」と親心を見せた。それに応えるように泉口は「まだ試合が残っているので、しっかり勝てるように頑張りたい」と気を引き締めた。開幕2軍スタートから始まり、がむしゃらに駆け抜けてきた今季。ぶれない姿で2冠を引き寄せる。(内田 拓希)

堀内恒夫Point】 泉口はボールが良く見えているし、コースに逆らわない打ち方ができるから、投手目線で見ても穴がないよな。たまに甘い球を打ち損じることはあるけれど、まあそれは若さってことで。1球、1打席を大事にしていることは、凡打の時の悔しがり方を見ていれば分かる。気持ちも技術も充実しているからこその2試合連続猛打賞。高い率での首位打者争いとなると経験がモノをいうこともあるだろうが、3割前後の数字なら、この勢いでいけばタイトルのチャンスは十分にあるよ。

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