◆米大リーグ パイレーツ9―7ドジャース(2日、米ペンシルベニア州ピッツバーグ=PNCパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が2日(日本時間3日)、2年連続の「ヒリヒリする」9月初戦でド軍通算100本塁打を達成した。「1番・DH」で先発出場の敵地・パイレーツ戦で3回に46号ソロ。

7試合ぶりの一発は自己&球団最速を更新する打球速度193キロ超の“光速アーチ”となった。チームは惜敗したが、約1か月ぶりの3安打をマーク。パドレスと争う地区優勝へ、9月爆発を予感させる幸先のいいスタートを切った。

 夕暮れの空の下、大谷が破壊音を奏でた。自己最速の打球速度120マイル(約193・1キロ)でボールが吹き飛んだ。インパクトから着弾まで約3・5秒。46号ソロでドジャース通算100本塁打を成し遂げた。移籍2年目での大台到達は史上4人目だ。世界で最も多い「446」の橋がかかるピッツバーグ。ロベルト・クレメンテ橋を望むことができる美しい球場で新たな記録が生まれた。

 まさに弾丸だった。3点を追う3回1死。

チャンドラー社のバットで有望株の右腕チャンドラーの99・2マイル(約159・6キロ)直球を強振した。打球角度は23度。19日(日本時間20日)の敵地ロッキーズ戦で放った44号の19度ほどではなかったが低く、すさまじい速さの弾道だった。ベンチではラッシングがあんぐりを口を開け、「もう彼に驚くことはないよ」とベッツもあきれ顔。ロバーツ監督は「打った瞬間はどれほどの強さかどうか分からなかったが、あっという間に飛んでいった。普通の打者なら単打だが、彼の場合はホームランになってしまう」と目を丸くした。

 これまでの自己最速は昨年4月のブルージェイズ戦で、打たれた菊池雄星(現エンゼルス)に「打球が速すぎて見えなかった」と評された119・2マイル(約191・8キロ)の右前打。花巻東の先輩を打ち砕いた“光速打”を上回った。さらに、97マイル(約156・1キロ)以上の球を捉えた一発は今季6本目。昨季までは7年間で計7本だっただけに、速球に強くなっていることも分かる。指揮官は「彼は常に専用のマシンで速球を打つ練習をしているし、スイングも少しコンパクトにして対応できるようにしている」と証言した。

 7回には左中間への二塁打、9回無死一塁では中堅フェンス直撃の適時二塁打をマークし、全て長打で出場21試合ぶりの3安打。

6試合長打なしで終わった8月終盤から一転、2年連続の「ヒリヒリする」9月初戦でド派手なリスタートを切った。

 同地区2位のパドレスも敗れ、地区優勝マジックは「21」となった。3日(同4日)は二刀流で出場する大谷。トマトケチャップで有名な「ハインツ」が創業された街としても知られるピッツバーグで、あと2試合もケチャップのようにドバドバと本塁打を量産していく。(中村 晃大)

 ◆日米の打球速度 MLBの今季最高はO・クルーズ(パイレーツ)で122.9マイル(約197.8キロ)。2位がV・ゲレロ(ブルージェイズ)の120.4マイル(約193.8キロ)で、大谷は3位で3人目の大台到達。今季平均は94.9マイル(約152.7キロ)でこちらも3位につけている。NPBの日本人打者のトップクラスは岡本(巨人)、村上(ヤクルト)、佐藤輝(阪神)らで最速170キロ超。長打になりやすいとされるのは打球速度158キロ以上、打球角度26~30度で「バレルゾーン」と呼ばれる。

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