◆JERAセ・リーグ 阪神2―0広島(7日・甲子園

 阪神の2年ぶりのリーグ制覇を縁の下の力持ちとして支えたのが、坂本誠志郎捕手(31)だ。履正社、明大、大学日本代表、阪神で主将を歴任し、今季も扇の要として最強投手陣をけん引。

生粋のリーダーが、兵庫県人会の後輩で4年前に「三振王」とイジりつつも勇気づけた佐藤輝の成長を明かした。また個性豊かなチームメート、藤川監督の素顔を相関図も交えて語り尽くした。(取材・構成=中野 雄太、直川 響)

 振る舞いを見ても、サトテルは大人になったなと思いますね。感情の起伏もあまり出さなくなったし、納得がいかない判定があっても、押し殺している姿をたくさん見てきた。その分、感情を出す森下をコントロールしてあげたり、年齢が上の人も励ましたり。献身的な姿を見ると、置かれている立場を自覚しているなと思います。

 1年目に三振記録の表彰状を渡したことは、もう本人は忘れているでしょうね【注】。野球の成績は文句ないというか、元々、持っている能力が違うので、これぐらいやるのは、間違いないと思っていましたけど。まだ物足りないっていう人がいるくらいだから。

 輝とは近本、才木、村上も交えて、キャンプ中や遠征先で兵庫県人会をやっているんです。シーズン中は才木と村上は同じカードで先発がほとんどなかったので、才木と村上のどちらかがいないんですけど(笑)。輝はひたすらよく食べる。

才木がふざけてしゃべってるのを、近本が笑いながら見てる。(村上)頌樹はツッコミ役。僕は何をするわけでもなく、そんなみんなを見守って、お会計です。

 みんな年俸をもらってるから「男気じゃんけんやるぞ」と言うと、「やりましょう!」と威勢良く返ってくる。でも、結局、する気配すらないから(笑)。

 輝はチームのために、何ができるのかを考えてできるようになってきているし、それで勝ちをもたらしているというのは、才能とか能力。すごく大きなことだと思います。

【注】坂本が21年8月15日の広島戦(京セラD)の試合前の声出しを担当。2日前に新人最多を更新するシーズン122三振を喫した佐藤輝を呼ぶと、手作りの賞状を取り出し「賞状 三振数優勝 佐藤輝明殿」と表彰。「フルスイングはやめないでください。全国のタイガースファン、プロを夢見る子どもたちが期待しています」とイジりつつも、後輩のストロングポイントをたたえた。

 ◆坂本が振り返る今シーズン&チームの裏側

 ▽充実の1年

 「正直、正捕手とかは何とも思っていない。

ずっと試合に出続けたいと思ってやってきて、ピッチャーが頑張ってくれたからこの位置にいる。色々なことが伴って充実した1年になっている」

 ▽変わらない藤川監督

 「現役の時から同じスタイル。いい時も悪い時もフラットで、負けが込んでも引きずらないから、やりやすかった。就任された時から『思うようにやってくれたらいい』と言ってくれて、何とか力になりたかった」

 ▽石井の活躍に不思議なし

 「いまだにずっと進化しようとしている。自分のデータや数値を集めて、確率を上げたり、自分の考えをしっかり持って準備している。会話のレベルも上がっているし、結果が出るのは、僕にとって不思議なことではない気がしますね」

 ▽裏ボス糸原

 「糸さんは裏ボス。ベンチでも『こういう状況になったら準備しておけよ』と前もってみんなに言ってくれている。熊谷、植田、栄枝とかスタメンでいく機会が少なかった選手で集まってご飯とかに行ってるみたい」

 ◆坂本 誠志郎(さかもと・せいしろう)1993年11月10日、兵庫・養父市生まれ。31歳。履正社、明大を経て15年ドラフト2位で阪神入団。23年はチームを日本一に導き、ゴールデン・グラブ賞を受賞。176センチ、79キロ。

右投右打。今季の推定年俸1億円。既婚。

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