◆米大リーグ オリオールズ4×―3ドジャース(6日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)

 ドジャース・山本由伸投手(27)が6日(日本時間7日)、敵地・オリオールズ戦に先発し、ノーヒットノーランまであと1アウトの快投を見せたが、9回2死から被弾。日本人投手では野茂英雄岩隈久志に次ぐ歴史的快挙を逃した。

チームは山本降板後に逆転サヨナラ負けを喫し、悪夢の5連敗となった。

 快音を、山本は潔く受け入れた。「打たれたな、と思いました」。9回2死。総立ちの観衆が挙げた悲鳴と共に、夜空へ白球が伸びた。自ら選択した112球目のカットボールをホリデーに右翼席へ運ばれた。日本人選手では3人目(4度目)の無安打無得点まであとアウト1つ届かなかった。

 渡米後初めて9回のマウンドに上がり、8回2/3を1安打1失点10奪三振。快挙は逃したが、降板する際には万雷の拍手が送られた。だが、ここからまさかの事態に。2番手・トライネンが満塁のピンチを背負うと、押し出し四球で1点差。慌てて前日サヨナラ被弾の左腕スコットを投入したが、リベラに2点適時打を浴びて連日の劇勝を献上した。

 9回2死までノーヒットノーランでリードをしながら、9回逆転負けを喫したのは史上初。指揮官は「1つの試合でここまで天国から地獄に落ちるような展開は珍しい」とため息をついた。山本の降板については「完封も消えたし、もう十分だと判断した。残りは救援陣に任せるべきだと思った」と説明。結果は痛恨の黒星で、同地区2位パドレスとは1ゲーム差となった。

 ただ、山本の好投が色あせることはない。相次ぐ捕手の故障でロートベットと初バッテリーを組み、自ら配球を組み立てる場面もあった。111球目に計測した98・2マイル(約158キロ)は今季最速。「最近すごくいい感覚で投げられている」。オリックス時代には22、23年に2年連続ノーヒッターを達成している背番号18。必ずまた、チャンスはある。(中村 晃大)

◆主な記録

 ▽日本人ノーノーなら… 日本人では1996年9月17日ロッキーズ戦で当時ドジャースの野茂が初達成。

野茂はRソックスで01年4月4日オリオールズ戦でも達成し、両リーグで記録。15年8月12日オリオールズ戦ではマリナーズの岩隈が達成。昨季今永は7回無安打無失点で継投によるノーノーの1人となった。

 ▽ノーノー未遂 日本人では13年4月2日、当時レンジャーズのダルビッシュ。9回2死まで完全投球だったが、中前安打を許した。ダルは14年5月9日のRソックス戦でも9回2死から安打を許してノーノーを逃したが、同試合はその後、7回2死の失策とされていた記録が安打に訂正された。前田はツインズ時代の20年8月18日ブルワーズ戦で9回先頭に初安打を許して逃した。

 ▽9回2死から逆転 MLB公式のラングス記者によると、1961年以降で、9回2死まで無安打ながら勝ったチームはオリオールズが9例目。過去8例はいずれも9回2死まで0―0で、逆転勝ちは初。

編集部おすすめ