ゴルフのジュニアメジャー4冠を達成し「天才少女」と呼ばれる14歳の須藤弥勒(ゴルフ5/太陽自動車)が、21年マスターズ優勝の松山英樹(LEXUS)らを輩出した日本有数のスポーツ強豪校の高知・明徳義塾中学校へ転校することが8日、分かった。現在、群馬・太田市内の公立中2年に在籍しているが、すでに明徳義塾中の編入試験に合格しており、今月中に転校し、高知・須崎市にある学校の寮に引っ越しする。

 「大好きな家族と離れることは寂しいですけど、それ以上に、明徳義塾中で、もっとゴルフに一生懸命に取り組み、もっとゴルフがうまくなりたいという気持ちの方が強いです」と14歳は強い覚悟を明かした。

 弥勒は先々週、先週に女子プロツアーのニトリレディス、ゴルフ5レディスに連戦で出場。「大きな決断をしました。ふたつの大会が終わった後、大発表があります」と話していた。それが明徳義塾中への電撃転校だった。これまで、プロツアーの大会を軸に強化を図っていたが、今後はジュニアの大会にも参戦し、同世代と競い合いながら成長を期す。

 母みゆきさんは「強い選手は中学生から高校生にかけてゴルフ部の強い学校で寮舎生活をしていたことが多く、弥勒も数年前から、その準備をしていました。多くの関係者のご尽力により6校と話をさせていただきました。その中でも、学校見学に行った明徳義塾中の教育方針、部活動の雰囲気が素晴らしかったことに感銘を受けました」と説明した。

 明徳義塾中・高は、松山英樹をはじめ、日本女子ツアー通算23勝の横峯さくら(エプソン)らトッププロを輩出。日本女子シニア選手権優勝8回などの実績を持つ三木逸子監督が熱心に指導をしている。同校から近く、練習ラウンドを行うことが多いスカイベイGCは日本有数の難コースとして知られており、ゴルフに打ち込むには抜群の環境だ。

夏休みを利用して、明徳義塾中ゴルフ部に体験入部した弥勒は「明徳義塾の皆さんに、とても優しくしていただいた。ゴルフに集中できる環境です。家族と離れても、明徳義塾でゴルフをしたい、と強く思いました」と言葉に力を込めて話した。

 これまでジュニアの大会に出場しなかったことを一部で批判されていたが、秋以降、明徳義塾中の一員として、ジュニアの大会にも積極的に参戦する。「ジュニアの大会に出場することは楽しみです」と弥勒は笑顔で話す。同世代のライバルたちと切磋琢磨(せっさたくま)することで、将来、最終的な目標に掲げる「世界一のゴルファー」を目指す。

 ◇明徳義塾中・高 中学は1973年、高校は1976年に創立。高知・須崎市と土佐市にキャンパスを持つ。同校のホームページによると、建学の精神は「徳・体・知、三位一体による真の人間教育」。日本有数のスポーツ強豪校でもあり、多くの競技で卒業生が活躍。主なOBは、ゴルフの松山英樹、横峯さくら、大相撲の元横綱・朝青龍、サッカーの元日本代表・三都主アレサンドロ、プロ野球の元中日、現楽天コーチの森岡良介ら。

 ◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。

14歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。22年1月からアマチュアも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、ダブル所属契約のゴルフ5と太陽自動車をはじめ多くの企業から推定総額3億6000万円以上の支援を受ける。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。

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