◆ローズS追い切り(10日、栗東トレセン)

 3日間開催3重賞の追い切りが東西トレセンで行われ、春のG1馬が秋の始動戦に向けた動きを披露。秋華賞トライアルの第43回ローズS・G2(14日、阪神=3着まで優先出走権)のオークス馬カムニャックをヤマタケ(山本武志)記者が「見た」で仕上がりに迫った。

 友道厩舎のレース当週は「動きがないのは元気な証拠」と考えるようにしている。しっかりと負荷をかける1週前追い切りでほぼ仕上げ、当週はソフトなメニュー。メリハリを利かせた調整を施し、フレッシュな状態で送り出す。あのドウデュースだって、猛時計を出したのはいつも1週前で、当週は軽いDPコースでサッと流す程度だった。

 カムニャックの当週は初戦から3戦目まで距離の長いコースで少し負荷をかけ、重賞連勝となった近2走が坂路で微調整だった。2戦目のアルテミスS、3戦目のエルフィンSに関しては「具合が良くなかった」と友道調教師。つまり、当週にも良化を求めないといけない“スパイス”が必要だったと言える。一方、フローラS、オークスに関しては「東京への輸送もあるし、特にオークスは間隔も短かったから」と軽めのメニューを選択。その結果、重賞連勝という最良の答えが出た。

 この日は成功体験を踏襲するように栗東・坂路で単走。序盤からグッと手綱を押さえ、徐々にスピードに乗せていく。軽く促したラスト1ハロンのフットワークは力強さを増していくばかり。

牝馬だが、友道調教師が「春に比べるとたくましくなった」と口にするのも納得だ。最後まで楽な感じのままだったが、しっかりと加速ラップを刻み、55秒1―12秒1をマーク。もちろん、1週前にCWコースで6ハロン78秒8の猛時計を出しており、友道流の万全仕上げと言える。

 オークスを勝ったが、昨秋から今春まで本来の調子を取り戻すために苦心した。「今回は放牧からいい感じで帰ってきている。勝って、次に行ければいいですね」。春より明らかに歯切れのいい友道師の口調と明るい表情。そして、動かなくてもよかった最終調整。樫の女王は万全の態勢で復帰戦に臨む。(山本 武志)

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