◆米大リーグ ブルージェイズ5×―4オリオールズ(13日・カナダオンタリオ州トロント=ロジャースセンター)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が13日(日本時間14日)の敵地でのブルージェイズ戦に先発し、初回にゲレロの打球を左足首に受けるアクシデントに見舞われたが、6回を投げて4安打1失点で勝敗はつかなかった。

 チームはサヨナラ負けを喫し、5試合ぶりの勝利は幻となったが、4奪三振無四球で6試合ぶり9度目のクオリティースタートを達成。

シーズン28試合登板は、巨人時代の2018年に並ぶ自己最多となった。35歳で挑んだメジャーの舞台で、バーランダー、カーショー、シャーザーの現役200勝投手3人と投げ合い、「夢のような対戦。2年前の自分に教えてあげたい」と感慨深げに語った。

 気迫の続投だった。初回2死からゲレロの打球速度112・6マイル(約181・2キロ)を左足首に受けた菅野。自軍攻撃中には、ブルペンで中継ぎのスアレスが準備を始め、右足つま先に打球を受けた7日(同8日)のドジャーズ戦に続くアクシデントが心配されたが、マウンドに戻った2回は、渾身の3者連続三振。ア・リーグ東地区1位のブ軍打線を、バージャーのソロによる1失点に封じた。

 「何とか気合で投げようと思った。2試合連続で途中交代はしたくなかったので気持ちで投げました」と菅野が言えば、第3戦にブルペンデーを予定していたマンソリーノ監督代行は「煙の出るような打球だったが、トモはスーパータフ。スアレスは明日の先発投手。我々は菅野の闘志が必要だった」と称えた。登板中はアドレナリン全開で俊敏なベースカバーもみせたが、試合後、患部はテーピングでぐるぐる巻き。

電気治療を施しながら、テレビ取材が終わると「座っていいですか」と椅子に腰掛けてメディア対応した。

 「左打者に入ってくる軌道をみせたいと試合前のミーティングで強く言っていた」

 正捕手ラッチマンが離脱後、7人目の捕手となった新人バサロとのコミュニケーションは、まだ初期段階にある。この日は自らピッチコムをつけ、配球を組み立てた。スイーパーを自在に使い、両サイドを意識付け、左打者の内角を突いた63球。3度目の対戦となったブ軍打線に「やりたいこと」を貫き、「来年以降のことも考え、コンビネーションを使いながら投げた。僕の強みは色んなボールをどのカウントでも投げられること。それが早い段階で出来たので相手を惑わすことができた」と、胸を張った。

 8月31日のジャイアンツ戦で通算265勝のバーランダー、7日のドジャーズ戦で通算222勝のカーショー、この日は通算221勝のシャーザーと投げ合い、直近3試合で現役の200勝投手全員と先発マウンドを共有した。「2年前の自分に教えてあげたい。『2年後、バーランダー、カーショー、シャーザーと投げ合ってるよ』って。それくらい夢のような対戦。いい時間でした」。

不振に喘いだ2023年から大復活を遂げた日米通算146勝右腕は、巡り合わせに感慨深げだ。3月30日にメジャーデビューした場所に戻って今季28試合目の登板。巨人時代の2018年に並ぶシーズン自己最多登板で今季9度目のクオリティースタート、今季7度目の無四球試合。シーズン終焉を迎え、更に精度は上がっている。

 「体は元気です。(打球が)当たったこと以外は。体調はいいですし。(残り2試合)。いい形で来年につながるように頑張りたいです」

 順当なら残り2試合は、本拠と敵地でのヤンキース戦登板。メジャー1年目での30試合登板をしっかりと見据えた。

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