初出場の小林香菜(24)=大塚製薬=が、2時間28分50秒で日本人トップで7位に入賞した。佐藤早也伽(31)=積水化学=が2時間31分15秒の13位、安藤友香(31)=しまむら=は2時間35分37秒の28位だった。

東京五輪金メダリストのジェプチルチル(ケニア)が優勝した。1984年ロサンゼルス五輪女子マラソン代表で、スポーツジャーナリストの増田明美さんが日本勢のレースのポイントを解説した。

 小林選手は、笑顔でゴールしていましたし、私がつけたキャッチフレーズ「ピッチ、ピッチ、タフ、タフ、ランラン、ラン」の通りの見事な走りでした。このコースは周回コースで折り返しが多く、リズムが大事。1分間で220ピッチ(普通の選手は180~200ピッチ)を刻む高速ピッチ走法で、リズムのいい走りを展開していましたね。

 当初から「入賞する」という明確な目標を掲げて、前半はペースが遅いと自分のリズムを守りながら前にいき、中盤でアフリカ勢がペースを上げて10位まで順位を落とした時は、そこで焦らず、持ち前の粘り強い走りで落ちてきた選手を1人ずつ拾って、順位を上げていきました。切り替えの早さをみせた賢い走りも素晴らしかったと思います。

 初マラソンだった今年1月の大阪国際女子マラソン前は、最も走り込んだ月でも約1200キロでしたが、今回は一番走り込んだ7月に合宿などで、1300キロの距離を走ったこともタフな走りにつながったと思います。大塚製薬の河野匡監督と二人三脚でやってきた成果でもありますね。

 レース前、給水もカギになると思っていましたが、給水ごとに飲み物のほかに氷を入れた帽子を用意し、暑熱対策をしっかりしていました。チームの緻密な作戦も良かったと思いますね。

 走ることが大好きな彼女が、2回目のマラソンで大会前に「早くレースが終わってほしい」と話していました。

初めて大きなプレッシャーを感じていたんだと思いますが、そこで持ち味を生かしての日本勢3大会ぶりの入賞は、女子マラソン界の大きな希望になりました。

 3年後のロサンゼルス五輪も暑くなることが予想されるので、そこにもつながる走りだったと思います。課題は場数だけ。これからレースを経験していけば、もっといい走りができるはずです。

 佐藤選手は、初出場だった前回、(23年)ブタペスト大会で『雰囲気に飲まれてしまった』と話していましたが、その経験を生かした走りができたと思います。後半に順位を上げていけたのは悔しさをバネにしたから。今後も期待できますね。

 安藤選手は経験もあるし、一番期待していましたが、ちょっと頑張りすぎた感じです。レース後に会いましたが、熱中症のような症状が出ていたようです。でも、これが力ではないですよ。(1984年ロサンゼルス五輪女子マラソン代表、スポーツジャーナリスト)

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