◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 井上尚弥―ムロジョン・アフマダリエフ(14日、名古屋・IGアリーナ)

 世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(32)=大橋=が、WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=を3―0の判定で下し、史上単独最多の4団体統一王座5度目の防衛に成功。世界戦26連勝は、ヘビー級で25度の防衛を果たしたジョー・ルイス、元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(ともに米国)と並び史上最多となった。

 「キャリア最大の強敵」をねじ伏せた。「どんな形でもどんな内容でも、しっかり勝つ」との覚悟で臨んだ大一番で、4団体統一王者の威厳を誇示した。

 舞台裏には、周到な準備があった。7月末から約1か月間、井上とアフマダリエフともに対戦経験がある元WBA&IBF同級王者マーロン・タパレス(33)=フィリピン=とスパーリングを行った。仮想アフマダリエフを演じたタパレスから、攻略の糸口を授かった。

 さらに名門・帝拳ジムが誇るサウスポーの地域王者、東洋太平洋フェザー級王者・中野幹士(30)、日本バンタム級王者・増田陸(27)、WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王者・村田昴(28)、WBOアジアパシフィック・フェザー級王者・藤田健児(31)の4選手とも拳を交えた。普段と違う環境での「緊張感」を求め、8月4、7日には帝拳ジムへ出向いた。プロデビュー後初、13年ぶりとなる国内ジムへの出稽古だった。「初心に戻って新たな気持ちで今回挑めている」と貪欲に進化を求めた。

 次なる舞台はサウジアラビアとなることが内定している。12月27日、サウジアラビア・リヤドでWBC同級1位アラン・ピカソ(25)=メキシコ=の挑戦を受けることが有力だ。モンスターのサウジ上陸は、来年5月に計画されるWBC&IBF世界バンタム級王者・中谷潤人(27)=M・T=との東京ドーム決戦の“前哨戦”となる。

◆ラウンド(R)VTR(※井上尚弥は尚弥、アフマダリエフはアフ)

【1R】尚弥の強い左ジャブ、下がりながらの左フックがヒット

【2R】尚弥の右ボディーストレート命中。アフは右フック空転

【3R】尚弥がノーモーションの右繰り出す。アフは左アッパーで反撃

【4R】尚弥がワンツーの右ストレートを顔面にクリーンヒット

【5R】アフが右フック、左ボディーを当て、尚弥は左フックで逆襲

【6R】尚弥の左ボディーブロー連発にアフたまらず後退

【7R】スピードで上回る尚弥が軽快に多彩な右をヒット

【8R】アフは大きい左を空振り。攻防の中で倒れるもスリップ

【9R】尚弥がロープを背に右アッパー的中。打撃戦で笑顔も

【10R】アフが前に出るも、足を使う尚弥をつかまえきれず

【11R】尚弥が上下ジャブを打ち分け、ボディーストレート決める

【12R】「ナオヤ」コールの中、尚弥がアフを終始ほんろう

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