大相撲秋場所 初日(14日、東京・両国国技館)

 横綱・大の里(25)=二所ノ関=が新小結・安青錦(21)=安治川=を力強く寄り倒し、白星発進した。初めて東の正横綱として臨み、新鋭の挑戦を退け昇進後初Vへ好スタートを切った。

 激しさの中に隠された冷静なプラン。大の里が考えた相撲で安青錦を圧倒した。立ち合いはもろ手で突いた。すぐに右を差して、安青錦の上体を起こし、左のおっつけで一気に出た。もし左を抱え込んでいたら、安青錦に食いつかれて違う景色が見えたかもしれない。荒々しく攻めても落ち着いていた。先場所の苦い経験が背中を押しているのか。今場所の大の里はひと味違う。

 安青錦の立ち合いは一種の“毒まんじゅう”と言えるだろう。手を出して、頭で受ける立ち合いで白星を重ねてきたから修正をしなかった。立ち合いを変えないと現状突破は難しい。形や技にこだわる前に、立ち合いから圧倒するパワーが必要である。

体の大きくない横綱・豊昇龍だって、突き刺さるような厳しい立ち合いを持っている。立ち合いを変えるんだ、という稽古場からの意識改革が大関、横綱への道と言える。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

編集部おすすめ