◆世界陸上 第2日(14日、国立競技場)

 男子100メートル決勝が行われ、ジャマイカのオブリク・セビル(24)が自己ベスト記録の9秒77で優勝した。2位には同じくジャマイカのキシェーン・トンプソン(24)が9秒82で続き、ジャマイカ勢がワンツーフィニッシュを果たした。

同種目でジャマイカ選手の優勝は2015年北京大会のウサイン・ボルト以来、5大会ぶり。3位は米国のノア・ライルズ(28)で9秒89だった。

 日本勢3人が13日の予選で敗退。2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(26)=東レ=は7組(無風)で10秒37の7位、元日本記録保持者の桐生祥秀(29)=日本生命=は3組(向かい風1・1メートル)で10秒28の5位、世界大会初代表の守祐陽(もり・ゆうひ、21)=大東大=は2組(追い風0・1メートル)で10秒37の7位。2015年北京大会以来、5大会ぶりの日本勢全員敗退だった。

 男子100メートル元日本記録保持者で中京大副部長の青戸慎司さん(58)は、今大会の男子100メートルを総括し、20日に予選、21日決勝が行われる男子400メートルリレーへの期待を語った。

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 優勝したセビルと2位のトンプソンは、同じジャマイカ人選手で同じ24歳。タイプも似ています。お互いに意識して、力む要素がある。我慢比べの展開でした。

 その中で、セビルは最後まで正確な動作が出来ており、スピードが落ちなかった。世界選手権の決勝で自己ベスト記録を出せることはすごい。

メンタルが強い。フライングがあり、スタートがやり直しになっても集中力を切らさなかった。

 2位のトンプソンはセビルとの我慢比べにわずかに負けて終盤に動きが硬くなりました。3位のライルズはピーキングが100%ではないように見えました。

 日本勢は3選手が予選敗退し、残念でした。サニブラウンは今季、ずっと本調子ではなかった。世界選手権の決勝に進出するには、準備、体調、メンタルのすべてが100%であることが求められる。また、体調を戻して、世界に挑戦してほしい。

 桐生は9秒99を出した8月がピークになってしまいました。その時は、今大会よりも、もっとリラックスして、いい走りをしていました。シーズンに何度もピークを持っていくことは難しい。

 守は、タイムを出すレースと順番を狙うレースの経験が足りませんでした。

これから、もっと経験を積んでいってほしい。日本勢は男子100メートルでは結果は出せませんでしたが、お家芸の男子400メートルリレーでは期待したい。

 桐生は経験があり、それほど調子が悪いわけではないので、得意の3走を任せられる。アンカー(4走)は200メートル代表の鵜沢飛羽(JAL)でしょう。サニブラウンは本来の調子であれば、1走か2走ですが、今回は厳しい。

 1走、2走は若手を使うこともあり。16歳の清水空跳(そらと、石川・星稜高)を起用するのであれば1走でしょう。2走は、柳田大輝(東洋大)をはじめ、複数の候補がいます。調子の上がってきている選手が走ることになるでしょう。(男子100メートル元日本記録保持者、中京大副部長)

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