◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇井上尚弥(判定)ムロジョン・アフマダリエフ●(14日、名古屋・IGアリーナ)
世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(32)=大橋=が、WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=を3―0の大差判定で下し、史上最多の4団体統一王座5度目の防衛に成功した。世界戦26連勝は史上最多記録に並んだ。
尚弥は過去最強といわれた相手に対し、慎重に集中して最高のスタートを切った。その緊張感を最後まで持続できたことが快勝につながった。
ボクシングにとってスピードは勝利への重要な要素といわれる。私自身はそれだけではないと思っている。しかしだ。この日の尚弥とアフマダリエフの差は明らかにスピードにあった。技術、パンチ力、ディフェンスとすべての項目で最高レベルにある尚弥にあのスピードで動かれたら、相手はどう対処すればいいのか。アフマダリエフも高いレベルの技術、パンチ力などを持ち合わせているが、すべての項目で尚弥が少し上回っている。その上で、スピードにあれだけ差があれば、アフマダリエフは耐えるだけが精いっぱい。攻める段階まではいかなかった。
そして左右のボディーブローだ。アフマダリエフに苦痛を味わわせたあのパンチは、スピードがなければ決めることができない。