◆JERA セ・リーグ DeNA3―0巨人(15日・横浜)

 大記録をアシストしようと全員一丸になった。田中将の日米通算200勝がかかった一戦は0―3で完封負け。

2位を争うDeNAとの敵地2連戦連敗で、順位が入れ替わって44日ぶりに3位に転落した。それでも阿部慎之助監督(46)に悲壮感はなかった。「負けていい試合だったっていうのはないんだけど、次に必ずつながる試合だったかなと思います」。熱いプレーの連発に希望の光を見た。

 0―0の5回の守備。2死満塁、度会の左翼線のライナーに左翼・丸が地面すれすれでダイビングキャッチ。抜けていれば複数失点の危機を救った。「絶対捕ろうと。試合前に監督から『マー君が気迫前面でやってくれると思うから』っていう話をされていたので」と執念が実った超美技。田中将は両手を上げてガッツポーズで感謝した。

 続く6回、先頭の筒香の右中間のライナーを今度は中堅・キャベッジが横っ跳びで好捕した。その場で絶叫する助っ人に向け、マウンドの田中将は脱帽。

神がかり的なスーパープレー連発がチームに勇気を与え、士気がより高まった。

 その後の6回2死一、二塁では、石上の右翼後方へのライナーを中山がグラブの先に当てながら惜しくもはじき、決勝の2点適時二塁打。ボール1個分、紙一重の差で捕球できず、外野トリオの好守備3連発とはならなかったが、田中将を助けようと食らいついた。阿部監督は「負けはしたんだけど、みんな気持ちが出ていてね」と闘志あふれる姿を収穫に挙げた。

 反省点を挙げるとすれば、無得点に終わった攻撃面。4回1死二、三塁、打者・中山でDeNAの内野は1点OKの定位置だった。初球ファウル、2球目は見逃し。2ストライクとなったことで前進守備になり、最後は空振り三振に倒れた。相手のケイに厳しい攻めをされたが、何とか追い込まれる前に内野ゴロでも1点を取る攻撃ができれば状況が変わったかもしれない。

 64勝65敗3分けとなり残り11試合。9回6安打完封勝利を許したケイとは今後の短期決戦を見据えても、さらなる研究が不可欠だ。CS本拠地開催の2位を目指す中で26、27日には再びDeNAと敵地・横浜で2連戦がある。

しびれる順位争いが続くが、この夜のように結束して熱く戦っていけば勝機は見えてくるはずだ。(片岡 優帆)

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