◆JERA セ・リーグ ヤクルト2―4巨人(17日・神宮)

 リチャードに意識の変化を感じる。2回の同点2ランは、内角に入ったシュート系だった。

2球目の真ん中付近をファウルにした際に振りすぎたのか、両腕をたたんだ窮屈なスイングの中に力みが抜け、芯付近に当てることだけを考えているようだった。フォロースルーでは右手を離した。「100点を目指さなくなったな」というのが印象で「詰まっても、泳いでもいいんだ」くらいに見えた。

 初回の攻撃でキャベッジが走塁で大きなミスを犯し、裏の守備では右翼の中山と飛球をお見合いした。続く打者に戸郷が連続四球を与え、オスナのタイムリーで2失点。ありえないプレーが続き、これが短期決戦だったら流れを一気に渡していたところだ。でも、リチャードの一撃はそんなミスをも帳消しにしてしまう魅力がある。実際、強引にも流れを引き戻したのだから、阿部監督が期待して使っているのも分かる。

 現状だと、CSの相手はDeNA。昨年の同シリーズでは、4番・岡本との勝負を避けられた結果、得点力が半減し、巨人は敗れた。今回は同じように、一発のあるリチャードも徹底マークされると思う。だからといって難しいことは考えず、自分のパワーを信じればいい。

(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

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