◆世界陸上 第5日(17日、国立競技場)
男子やり投げで予選落ちとなった7月の日本選手権王者の崎山雄太(29)は、珍しい所属先の支えもあって2大会連続の世界陸上の舞台に立った。所属の愛媛競技力本部の正式名称は「愛媛県競技力向上対策本部」。
競技に特化するのではなく、目指したのは全体の底上げ。全国で上位の競技や、指導者が不在、道具がないものもあり「それに応じた補助金の形で各競技を強化した」という。7年がたち競技力が上がる中、県外からも有望選手を招いて雇用するスポーツ専門員制度ができた。一番の仕事は大会で結果を残すことだが、学校からの要請で訪問指導するなど、県内スポーツの発展に寄与するのも業務の一つ。崎山は日大卒業後の19年より活動。「性格が明るいし、指導もうまい。やりを投げたら子供はくぎ付け。学校からの要請は多い(辻岡氏)」と大人気だという。
愛媛国体時の52枠から減ったが、地道な普及活動もあって支援する声も多く現在も23人を雇用する。
異例のサポートを継続し、次なる夢は28年ロサンゼルス五輪。これまでスポーツ専門員から五輪代表を輩出したのは18年平昌冬季大会スピードスケート女子の郷亜里砂の一人。「彼女の活躍で皆さんが応援するようになった。夏の五輪はまだ。何とか出したい」と辻岡氏。崎山やウェートリフティングなどに期待だ。今後もアスリートとともに夢を追い続ける。