◆世界陸上 第5日(17日、国立競技場)
男子200メートル予選で、昨年のパリ五輪代表の鵜沢飛羽(とわ、22)=JAL=が20秒39(無風)の6組3着で18日の準決勝に進んだ。7月の日本選手権で3連覇を果たし、8月は日本歴代3位タイの20秒11をマークするなど好調ぶりを発揮。
大声援を力に変えた。着順で準決勝進出を勝ち取った鵜沢は、第一関門を突破し、「着順で(準決勝の権利を)取るつもりで準備してきた」と淡々と受け止めた。「決勝の舞台で走ること」を最大目標と掲げる今大会。03年パリ大会の末続慎吾、17年ロンドン大会のサニブラウン・ハキームに次ぐ同種目3人目の決勝進出へ順当な滑り出しだ。
会場の大歓声に「もう走れて、うれしくて」と興奮した。漫画やアニメが好きな“オタク・スプリンター”としても知られる鵜沢は、前日に「ジョジョの奇妙な冒険」ポーズを披露し、男子110メートル障害5位入賞した同じJAL所属の村竹ラシッド(23)から「お前もやれ」と言われ、人気アニメ「ナルト」の「影分身の術」ポーズをスタート前に発動。好スタートから力強く加速した。
世界レベルに触れ、心身共に成長した。2回目の世界大会となった昨年のパリ五輪は「世界との差を感じた」と準決勝敗退。今年4月に女子やり投げの北口榛花(27)、村竹と同じJALに入社し、世界で戦う選手が身近になった。「(世界舞台で)決勝に残ったらちょっと近づいたってなると思う。
まだ、タイムを縮める感覚はある。この日のアップでは準決勝以降に余力を残すため、高負荷で体に刺激を入れる「刺激走」を行わなかった。「うまくいけば明日、もうちょっとタイムが上がるはず。自分の走りをして、自己ベストくらいのタイムが出せれば問題なく決勝に行けるはず」。決勝スタート時のポーズも「決めています」と自信を漂わせる鵜沢が、決勝の扉を開く。(手島 莉子)
◆鵜沢 飛羽(うざわ・とわ)2002年11月25日、宮城・大河原町生まれ。22歳。築館高1年から本格的に陸上を始め、19年全国高校総体で100、200メートル2冠に輝く。筑波大に進み23、24年と日本選手権200メートル連覇。23年ブダペスト世界陸上、24年パリ五輪代表。