バレーボール男子 世界選手権 第6日(17日、フィリピン・マニラ)

 世界ランク7位の日本は、1次リーグ(L)G組で1勝2敗とし、同組4チーム中3位で今大会の敗退が決まった。17日に行われた今季最終のリビア戦は、日本らしさも見せながら3―0の快勝締め。

しかし目標だった51年ぶりのメダルへの道はすでに閉ざされている。主将の石川祐希(ペルージャ)はリビア戦後、「予選突破できなかったし、目標としていたところまでほど遠かった。色々と大きな変化もあった中結果を残せなかったのは、非常に悔しいし、反省する部分は多い。これでも結果を残さないといけないなと改めて感じた」と胸中を語った。

 13日にトルコ、15日にカナダのともに世界ランク下位のチームにストレート負け。悪夢を断ち切れず、2028年ロサンゼルス五輪を見据え、課題も見えた。

 まず大前提として初めて1セットも取れずに2戦完敗した第2戦までは、日本らしいバレーが見られなかった。初戦はトルコの低いトスからの強烈なサーブに手を焼き、守備の得意な高橋藍(サントリー)でさえも崩された。セッターに正確なパスが返らず、攻撃が単調に。これまで徹底マークに遭いながらも決めてきた石川のスパイクさえも、ブロックされる場面が目立った。「まずはサイドアウトを取る」とパリ五輪前から主将が言い続けてきたベースが、今大会では築けず、指揮官が唱える「スマートさ」はもとより基盤のプレーでミスが続いた印象だった。

 次に、ロス五輪に向けた1季目で意図もあっただろうが、エース頼りが露呈した。

思い出されるのは23年パリ五輪予選。フィンランド、エジプトの世界ランク下位チームに苦戦。しかし成熟したチームで藍やベンチスタートの大塚が気を吐き、流れを変えた。石川はペルージャで欧州CLを日本人初制覇するなど大エース。しかしコンビ面、相手チームとの対戦で機能しない場面もある。今大会も特に第2戦のカナダ戦は5得点。エースに託せない時にメンバー交代なのか、戦略変更なのか、チームとしてカバーできる手段を示せず、“負けパターン”にはまっていったようだった。

 ただ、28年ロス五輪に向けた1季目はパリ五輪でチームを引っ張ったオポジット・西田有志、セッター・関田誠大、ミドルブロッカー(MB)・山内晶大、高橋健太郎らが不在で、先発の半数以上が入れ替わったティリ監督の新体制。セッター・永露元稀、大宅真樹は高さのあるブロックに対する攻撃の幅、連係面など、特に石川と藍が7月に合流して以降、課題として取り組んできた。今季最終のリビア戦ではMBのクイックやバックアタックも多用し、次年度への成長を含ませた。

 新体制1季目は終わった。パリ五輪までの道で世界トップ国の仲間入りをしたが、今大会で「力がないチームと改めて感じた」と主将が言うように、その立場を確立するのは簡単なことではない。

チームはいったん解散し、それぞれの所属に戻る。石川は「これも1つの経験。ここから強くなるしかないと感じた世界選手権だった。今季はこれで終わりだけど、また来季はもっと強くなって戻ってきたいと思います」と言った。悔しさを糧に何度もはい上がるしかない。

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