◆世界陸上 第6日(18日、国立競技場)
男子400メートル決勝で、3大会連続出場の中島佑気ジョセフ(富士通)は、44秒62で大健闘の6位に入った。
14日の予選では、これまでの日本記録(44秒77)を0秒33更新する44秒44の驚異の日本新で準決勝進出。
レース後のテレビインタビューでは「夢に見てきた決勝という舞台、しかも国立でできてうれしかったんですけど、悔しいという感情が先に出てきた」と振り返り「ここで決勝の舞台を経験できた。メダルを取ってくる選手との差が明確になった。消耗している中で、どれだけ上げられるか、究極の精神力の勝負だったので。そういうところを経験できたのはよかった。まだまだ先は長いので、メダル、金メダルというところを来年、再来年、目指していきたい」と先を見据えた。地元の大声援に「会場の皆さんのおかげで殻を破ることができた」と感謝した。
今季は4月にケガをするなど出遅れ、なかなか調子が上がらなかった。7月の日本選手権には出場したものの、45秒81で5位に終わった。それでも、自国開催での大舞台進出へ、自身の走りを見直すなどして徐々に調子を取り戻し、迎えた今年の8月の富士北麓ワールドトライアルで、日本人4人目となる44秒84を出し、参加標準記録を突破。大舞台行きの切符を手にした。
23年の日本選手権で初優勝してブレイクし、45秒1台も連発した。
世界選手権はこれまで初出場の22年オレゴン大会で予選敗退、前回ブダペスト大会も自身初の準決勝に進出したが、決勝には行けなかった。昨夏のパリ五輪でも予選落ち。個人では世界の舞台で辛酸をなめ続けてきたが、自国開催で同種目の日本勢最高の6位。読書を趣味とする冷静さとアグレッシブさを持ち合わせた23歳は、自国開催で大きな足跡を残してみせた。