◆世界陸上 第6日(18日、国立競技場)

 女子5000メートル予選が行われ、1組に出場した日本記録(14分29秒18)保持者の田中希実(ニューバランス)は14分47秒14の5着で決勝進出を決めた。各組上位8人、計16人が20日の決勝に出場する。

 世界のトップランナーに比べると、スピードが劣る田中は中盤からレースを引っ張り、徐々に先頭集団の人数を減らした。積極策が成功し、予選を突破した。レース中盤まではともに走った山本有真(積水化学)が先頭を走り続け、ペースメーカーのような役割を担った。前日17日に「『私に何かできることがあれば』と彼女の方からいってくれた」と山本からペースを作る申し出があったことを明かした。

 13日の女子1500メートル予選では1組10位。準決勝進出ラインの各組上位6着に入ることができず、3大会連続の予選突破を逃した。「喪失感が大きかった」と振り返った。5000メートルに向けては残り6周でペースを上げるプランを企てた。「レースプランにもまだ迷いがある中で、怖さがある中でその最後のピースを彼女(山本)がはめてくれた。私に残り6周頑張れって神様が言ってくれてるし、有真ちゃんも何か2人でやりたいっていう気持ちが伝わってきた」。プラン通りにレースを進め、田中は決勝進出。レース後は山本が涙ながらに田中のもとを訪れ、固い握手を交わした。

田中の1500Mの雪辱には山本の存在が必要不可欠だった。

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