◆神戸新聞杯追い切り(18日、栗東トレセン)

 菊花賞トライアルの第73回神戸新聞杯(阪神=3着までに優先出走権)は、ジョバンニが栗東・坂路で順調な仕上がりをアピール。初タイトルをつかんで3冠最終戦へ向かうか。

 メリハリの利いた調整で整えた。ジョバンニは栗東・坂路をゆったりと単走。自分のリズムだけを守るように、全く無理をすることなく、気持ちよさそうに駆け上がった。時計的には目立たず、レース当週の坂路追いでは最も遅い56秒1―12秒2。しかし、見守った杉山晴調教師は「1週前にしっかり時計が出たので、坂路で気が入らない程度に。順調ですよ」と満足そうにうなずいた。

 その1週前が秀逸だった。松山の騎乗で栗東・CWコースを単走だったが、自己ベストとなる6ハロン79秒3―11秒4。道中は馬の走る気に任せながら、軽く手綱を動かした直線では自然とギアが上がるように加速した。「道中の折り合いでも我慢が利いていました」と松山が手応えを口にすれば、「この馬に誰よりも乗っている鞍上が好感触でしたから」とトレーナーも納得の様子。もう負荷はいらない。だからこそ、全く無理をしなかった。

 若葉Sまで5戦連続で連対圏を外すことはなかったが、大目標だった皐月賞では大きな不利に泣く4着。その後の日本ダービーは余力がなく、8着と初めて崩れた。そして、ひと夏を越した秋。視線の先に菊花賞を見据える中で、頼もしいのが精神面の成長だ。「休ませて、気持ちに余裕があります。次が3000メートルなので、どう組み立てていくかですね」と杉山晴師。最後の1冠へ、まずは前哨戦で最高の追い風を吹かせる。(山本 武志)

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