大相撲秋場所5日目(18日、両国国技館)

 横綱・豊昇龍は東前頭3枚目・熱海富士を寄り切り、5連勝で単独トップに立った。横綱審議委員会(横審)の本場所総見が行われた中、先場所途中休場から復調した姿を見せた。

関脇・霧島は小結・安青錦に送り出されて初黒星。横綱・大の里は西前頭2枚目・王鵬を突き落として4勝1敗とした。大関・琴桜は西前頭3枚目・豪ノ山を押し出して1敗を守った。

 強い豊昇龍が戻って来たことを印象付ける圧勝だった。鋭い出足からのもろ手で突き放し、右四つ、左の上手を取ると、止まらず前に出て寄り切った。過去3勝5敗の難敵・熱海富士に何もさせず、4秒1で圧倒。「苦手だと思ったことはない。やるのは当然。しっかり集中してできた。良かったと思う」とうなずいた。

 この日は横審による本場所総見が行われた。左足親指負傷で途中休場した先場所後に開かれた横審では、大島理森(ただもり)委員長(79)から「期待に応えられなかった結果を生んだことは横審そろって残念至極。

風格ある姿、結果を残せるように稽古に励んでいただきたい」と厳しい声が上がった。奮起を促された今場所。序盤戦(5日目まで)は速さと力強さを備えた取り口で無敗で戦い抜き、大島委員長も「堂々たる横綱相撲を見せてくれた」と賛辞を惜しまなかった。

 初日から5連勝は昨年11月の九州場所以来だ。初日は辛勝だったが、課題とされた序盤戦で尻上がりに安定感を増している。4日目に5連敗中だった阿炎、5日目は熱海富士と、苦手を内容良く退けていることも好材料だ。師匠の立浪親方(元小結・旭豊)も「立ち合いで踏み込めている。いい相撲を取っていれば、また調子も上がってくると思う」と期待した。

 霧島に土がつき、唯一の勝ちっ放し。「気にしてないので。その話はしないで」と報道陣を制したが、横綱の役割は理解している。八角理事長(元横綱・北勝海)も気迫を評価した上で、「優勝争いをしながら最後まで出ることが大事だ」と求めた。

「一日一番、しっかり大事にしていきたい」。昇進4場所目の横綱初Vへ、好発進した。(林 直史)

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