◆世界陸上 第6日(18日・国立競技場)
男子400メートル決勝で中島佑気ジョセフ(富士通)は、44秒62で6位に入った。1991年東京大会の高野進以来、日本勢34年ぶりに挑んだ決勝で、高野の7位を超え史上最高成績を残した。
以下はレース後の主な一問一答。
―感想を
うれしいですね。世界最高の舞台で戦えたということと、地元東京で皆さんの声援を背中に走れたのは本当に大きなことですし、アスリートとして、これほどまではない幸せというか、充実感を感じながら走ることができたので、よかった。
―状態は
状態悪くはなかったですよ。さすがに準決勝が終わった後は、ひと仕事終えたというか。決勝は未体験のところありますし。決勝っていうなんかもう神聖な舞台。疲労にあらがう究極の状態みたいのを感じましたね。
―ライバルたちの雰囲気はいつもと違ったか?
そうですね。やっぱり準決勝がピリピリしていた。準決勝が一番緊張するな、と。決勝もまた雰囲気は違いますね。
―これまでを振り返って。
決勝前に今までを振り返って思ったのは、スティーブ・ジョブズさんの演説を思い出して。その時は何とも思わない経験とか体験も、その後、振り返ると経験の点と点が結びついてひとつの成果になる。そういった言葉を思い出して。これまで自己嫌悪に陥るほどの苦いものを経験しましたし。米国ではいい経験したなと思いつつも、すぐに結びつくものではなかったな、と。それで1回疑心暗鬼になってしまうこともあったんですけど。それからケガとかもありました。今年に関しては春先にけがして、世界陸上を考える地点にいないくらいだった。今振り返るとその時は違う道を選べばよかったという経験も、自分の糧になっていて、それが一つひとつの動きや戦略に生きてきた。
―中島選手のスタートラインはどこだった?
難しいですね。いろんな要素が複雑に絡み合って。強いて言うならスタートラインはオレゴン(での経験)ですね。世界トップレベルの選手と走って、完全に打ち負かされたわけではないんだけど、自分の力不足を感じる4位で終わって、その時に自分も絶対(優勝)したいという現実感を持って、目標を立てられたのが僕のスタートラインです。
―記録について。
高野先生は僕にとって英雄ですし。偉大な先人ですが、いつか絶対自分が超えないといけないと常に思ってきた。ツイッター(X)を見たら高野先生が「ジョセフありがとう」と言ってくれていて。やっと高野先生の記録に並ぶことができたというか、400メートルをより活気のある種目にするために踏み出せたな、と。本当にうれしかったです。