元バレーボール日本代表監督で、現在は福井県でコメ農家を営む中垣内祐一氏が19日、大同生命SVリーグのバレーボール男子・堺ブレイザーズ主催イベントで「東京五輪に向けたチームマネジメント」をテーマに講演を行った。

 21年の東京五輪で男子日本代表監督を務めた中垣内氏。

最近は“米騒動”コメンテーターとしてテレビ番組などで引っ張りダコとあって「講演で呼んでいただいても『バレーのことはいいからコメのことをしゃべってください』と言われることばかり。今日はちょっと楽な講演です」と参加者をなごませた。

 今回の「強く、広く、社会とつなぐ」と題したイベントは、地域の持続的発展や企業の持続的成長への寄与をモットーとする堺ブレイザースと大同生命保険株式会社が企画。ブレイザーズが本拠地を置く大阪・堺市などの中小企業・個人事業主が招かれた。

 日本代表や古巣のブレイザーズを率いた中垣内氏の組織マネジメント論は企業経営にも通じ、同氏は「石川や高橋ら男前の選手もいて最近の男子バレーは盛り上がっているが、それまで日本が世界でなかなか勝てなかったのはいい指導者がいなかったから」とバッサリ。日本の指導者と海外のプロ監督の違いを実例を交えて解説し「いきなり結果を求めるチームは必ず失敗する。勝つチームには勝つチームの、負けるチームには負けるチームの雰囲気がある。リーダーに必要なのはまずその雰囲気を作ること。それなくして結果を求めてもうまくいきません」と語ると、多くの参加者がうなずいた。

 ブレイザーズの市民応援団会長でもある企業経営者の男性は「緻密に指導者のあり方を考えておられて企業人として勉強になりました。選手としてだけではなく、指導者として味わう達成感がある。指導者になりたいというモチベーションがもっと社会にあってもいいのでは」と話していた。

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