◆世界陸上 第7日(19日、国立競技場)

 女子やり投げ予選が行われ、昨年パリ五輪覇者で日本女子初の2連覇を目指した北口榛花(27)=JAL=が決勝進出を逃した。全36人が出場した予選で突破の上位12人に残れなかった。

2組に分かれたA組のトップバッターで登場し、1投目に60メートル31、2投目は60メートル38と伸ばしたが、最終3投目は58メートル80と60メートルラインに届かなかった。今季は6月から右肘のけがに悩まされ大会直前まで不安が残っていた。出身地、北海道・旭川市の今津寛介市長(48)がスポーツ報知の取材に応じ、「北口榛花、三大公約」を掲げた。昨年のパリ五輪で優勝。世界陸上は2連覇は果たせなかったが、旭川市の大スターとなった北口を、市全体でさらに後押ししていく。

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 北口は北海道・旭川市が生んだ大スターだ。今津市長が初めて対面したのは、22年オレゴン世界陸上での銅メダル獲得後。初回は「少し柔らかい、朗らかな感じ。それこそ、はるかスマイルでニコニコされていました」というが、翌年の23年ブダペスト世界陸上での金メダル獲得後は「別人のようにたくましくなられていました。体もそうですし、目の鋭さもそう。こんなに短期間で人って変わるんだなと感じました。いろいろな経験を積んで乗り越えて、栄冠を勝ち取っておられます」と変化に衝撃を受けていた。

 昨年のパリ五輪金メダル獲得後は、旭川市内でセレモニーとパレードを開催。合計約4万8000人が参加し、大盛り上がりだった。そして、これまでの世界大会などの功績を踏まえて今津市長は「北口榛花、三大公約」を掲げた。

〈1〉 北口榛花の日。「パレードは10月13日に行われましたが、今年はそれがスポーツの日なんです。その日を核として10月を、皆さん、子どもたちも高齢者の方々も、スポーツに親しんでいただける「北口榛花記念旭川市スポーツ月間」としました。多様なスポーツに市民が親しんで、子どもたちは夢をはぐくむ、健康作りにつながっていく。そういう月間にしたいですね」。

〈2〉 北口榛花ロード。「旭川駅前に、そういう構想を進めています。やり投げのスターティングラインを作って、その先にやりのモニュメントを置く。どれだけの距離を投げているのかわかるようにする。

それが、北口さんの記録が伸びるたびに移動する。旭川駅前に広場があるので、そこを想定しています。万博の大屋根リングの設計で知られる建築家の藤本壮介さんが北口さんと旭川東高の同窓なのでデザインをお願いしています」。

〈3〉 北口榛花競技場。「引退された方の名前が多いですですが北口さんはまだまだ現役。できれば2、3、4大会くらい金メダルをとってもらって、その後に。北口さんは花咲スポーツ公園陸上競技場で小さい頃から練習されていました。今後また相談していきたいです」。

 今津市長の一番の思いは、旭川市を北口が最も落ち着ける場所にすること。「常に世界のトップで戦い続けている。旭川に帰ってきたときくらいは世界の北口のよろいを脱いで、北口榛花としてリラックスしてもらいたい。次の戦いに向かっていくために心を落ち着かせる場所であって欲しいです」と語った。

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