◆パ・リーグ ソフトバンク1―2オリックス(21日・みずほペイペイドーム)
オリックス・佐藤には、困った時に立ち返る「原点」がある。20年の入団時より、課題の1つとしていたのが制球力。
捕手すらも置かず、現役投手が打者の「補助役」を務めるのは異例。「昔は1軍に駆り出されて、よく投げていたんだよ」と、優しく背中を押してくれたのが平井2軍投手コーチだった。真面目な性格が完璧を追い求め、自らを苦しめることも多かった左腕。「自分主導ではなく、打者のリズムでどんどん投げていく。打ってもらえればオッケー」との考え方がヒントとなり、心を楽にさせてくれた。
「余計なことを考えなくなり、いい感じにリリースのタイミングが合ってきた。調子が悪くなっても、打撃投手という戻る場所ができた」。着実に制球力を向上させ、469日ぶりにつかんだ1軍での白星。腐らず、実直に左腕を振り続けた努力の証を刻んだ。(オリックス担当・南部 俊太)