◆ルートインBCリーグチャンピオンシップ2025 supported by デジタルデータソリューション 第4戦▽群馬ダイヤモンドペガサス5―1神奈川フューチャードリームス(21日・横須賀)
BC神奈川の最速151キロドラフト候補左腕・冨重英二郎投手が、リーグ優勝を争うチャンピオンシップの第4戦に先発した。惜しくも敗戦したが、6回7安打2失点と粘投。
決して表情を崩すことはなかった。初回に1失点し、3回2死から連打を浴びて2点目を献上したが、左腕は落ち着いていた。直後の打者を遊飛に打ち取ると、静かに息を吐いてベンチへと戻った。「追い込んでから決めきれなかった」と反省したが、以降を無失点で抑え、6回を最少失点でまとめ上げた。
彼にとって、今年は勝負の年だ。強豪・東海大相模から国際武道大に進学。卒業後の24年からは社会人のバイタルネットに入社した。しかし、登板機会に恵まれず、理想とのギャップに気力を失ってわずか5か月で退社。一度は野球を辞めることすら考えた。それでも、NPBへの思いを捨て切ることはできなかった。「最後1年だけ、挑戦させてください」。
「やるからには上を目指して」とアルバイトはせず練習漬けの日々。昨冬には体を大きくするため週6日トレーニングを行い、食事量も増やして体重を増加させた。努力は結果となって表れ、今季10試合に先発して防御率は2・01。所属する西地区内の最優秀防御率投手に輝いた。
この日の試合を視察した巨人・青木スカウトは「球自体は速く、特徴がある」と評価し、ヤクルト・押尾スカウトは「球持ちが良く、ベース板での強さがある投手」とその素質に目を見張った。DeNA・横山スカウトも「(NPB球団からの支配下指名も)あるんじゃないか」と話すなど、着実に夢の舞台へ向かっている。
一度挫折を味わったからこそ、もう怖いものはない。「一番下は経験しているんで、もうこれ以上、下はないと思っている」。目指すのは悲願のNPB入りだ。「どんなところからでもはい上がれる自信があります」。覚悟はもう、決まっている。