◆JERA セ・リーグ 広島5―0巨人(23日・マツダスタジアム)

 巨人が鬼門マツダで痛恨の完封負けを喫し、CS第1ステージ(S)の本拠地開催権を争う2位DeNAとの差が2・5に広がった。先発の戸郷翔征投手(25)が序盤から広島打線につかまり2回までに4失点。

4回4失点で9敗目を喫し、これで初回は3試合連続失点と課題を露呈した。打線も8安打ながら無得点。残り5試合となり、厳しい状況が続く中、ドラフト1位ルーキー・石塚裕惺内野手(19)が5回に代打で登場。4試合4打席目で待望のプロ初安打を玉村から放った。

 こんなはずではなかった。残り6戦全勝を掲げて臨んだマツダで完敗。強い決意と対照的に結果は残酷だった。阿部監督が「やっぱりきついよね」と嘆いたように、魔の初回を含め2回までに4失点した先発・戸郷が誤算だった。Bクラスが確定してベテラン主力を大量抹消し、若手もスタメンに並べた広島に痛恨の取りこぼし。借金1となり、阪神に引き分けた2位・DeNAとのゲーム差は2・5に広がった。

 今季マツダでは3戦2敗だった戸郷が「4度目の正直」に挑んだが、出はなをくじかれた。初回2死一、二塁から末包に三塁線を破られ先制の2点適時二塁打。

自身3登板連続、直近6登板中5度目の初回失点で主導権を握られた。2回は2死から投手の玉村に安打を許し、中村奨に2ランを被弾。指揮官が「なんか、どっか悪いのかなって心配になっちゃうんだけど」と言うほどの不調ぶりだった。

 試合前まで9月は3戦3勝だったが、相手を圧倒する本来の戸郷の投球とはほど遠い内容が続いていた。阿部監督は「本人は必死で投げている、かもしれないけどね。気持ちが切れちゃっているというか、集中力を欠いているように見えてしまう。技術的なこともあるんだろうけど、メンタルの部分なのかなと。ちょっと心配してしまうんだけど」と指摘。「心配」と繰り返して状態アップを願った。

 昨年に続いて開幕投手に指名した右腕は、2度の2軍降格もありここまで7勝9敗。CSに向け不安が残るが、立ち直ってもらうしかない。次回登板について「いってもらうしかない。

誰もいないので。投手の頭数はいっぱいはいますけど、1軍で先発できる投手がいないので」と明言した。

 井上、赤星らが2軍調整中で、短期決戦では山崎、グリフィンらとともに先発としてフル回転が不可欠だ。杉内投手チーフコーチも「彼に抜けてもらっちゃ困るので。彼にも伝えましたけど、ここまで来たら調子がいい悪いは関係ない。先発の役割、責任を果たすとか、そのへんに重点を置いてほしい」と改善を求めた。

 攻撃陣も8安打無得点と元気がなく今季15度目の完封負け。対広島は11勝13敗1分けで2年ぶりに負け越し、マツダでは2勝10敗で同球場では球団初のシーズン10敗の屈辱を味わった。今季の広島戦は終了したが来季へ課題持ち越しだ。

 CS本拠地開催の2位を争うDeNAとともに残り5試合。DeNAに3勝されると巨人は逆転できず、DeNA2勝3敗で5戦全勝が必要と、さらに厳しい状況に追い込まれた。次は26、27日に敵地でDeNAとの直接対決。

絶対に負けられない。(片岡 優帆)

 【戸郷】4回65球5安打4失点で自己ワーストとなる9敗目を喫し「あれだけ立ち上がりが悪いと、こういう試合展開になる。責任も果たせなかったし、勝負球が全部打たれているので技術不足だと思う」。

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