◆米マイナー3A タコマ3―1オクラホマシティー(21日、米ワシントン州タコマ=チェニースタジアム)

 ドジャース佐々木朗希投手(23)が21日(日本時間22日)、傘下マイナー3Aオクラホマシティーの一員として敵地・タコマ戦に救援登板。1回をたった8球で3者凡退に仕留め、救援としてのメジャー復帰をアピールした。

D・ロバーツ監督(53)は、23日(同24日)の敵地・Dバックス戦からの本隊合流を明言。早ければ24日(同25日)にメジャー復帰となる可能性も高まった。9月は苦しい投球が続くドジャース救援陣の救世主に、朗希が名乗りを上げた。

 堂々たる投球だった。6回のマウンドに佐々木が上がった。直球3球で2者連続ゴロアウトに打ち取ると、最後はスプリットで空振り三振。8球で1イニングを投げ終えた。リリーフは18日(日本時間19日)以来、中2日で2度目だったが、ともに無安打無失点。「今できることの中では、準備はできた」と胸を張った。

 リリーバーとして、より実戦的なマウンドだった。初救援だった18日は登板する回をあらかじめ伝えられていたが、この日は流動的だった。6回表にブルペンで投球練習をスタートさせると、テンポよく10分間で30球。

「前回よりも、より本番を想定した短い時間の中で作るところを意識してやっていた。本当に大変なポジションだと思う。(救援を)やってこなかった分、それはより感じる」。まだ2度しかない救援登板で、新たな意識も芽生えてきた。

 4球投げた直球の最速は97・9マイル(約157・6キロ)止まりだったが、「悪いなりにどうやって抑えるか。先発と違ってアウト3つ取ることが仕事。調子が上がりきる前に今日みたいに終わることもあると思う。そういった時に抑えるすべ、自分から自滅しないことが大事」。救援のメンタリティーも短期間でつかんだ。

 本隊は1点リードの8回に登板したトライネンが3失点して逆転負け。シーズン終盤に入って先発陣は安定感を見せる一方、救援陣は不安定な投球が目立つ。ロバーツ監督は試合後、23日(同24日)からの敵地・Dバックス戦で朗希が合流することを明言。

「本当によかった。彼は(メジャー登板の)チャンスを得るために必要なことをやった」と太鼓判を押し、合流後に今後へ向け話し合う予定だ。

 ただ一方で、朗希が救援に回るのは今季限り。経験も少ないことから、指揮官は中2日の登板間隔が必要であることも示唆した。最終的なメジャー昇格の判断は現状の救援陣の状態を見極めてからとなるが、早ければ24日(同25日)からの復帰へ大きく前進した。

 レギュラーシーズンは残り6試合。ポストシーズンで救世主になる期待もかかる。朗希も米1年目での大舞台での登板へ向けて「そういった環境でしか経験できないこともあると思う。そこで吸収して来年につながったり、(今季)少しでもチームに貢献することができると思う」と目を輝かせた。5月の右肩痛による離脱から苦しんできた右腕だが、トンネルの出口が見えてきた。(安藤 宏太)

 ◆朗希に聞く

 ―登板を振り返って。

 「真っすぐの感じは、前回ほどはよくなかったけど、ゾーンに行った部分はよかった。

球数が少なかったので、そんなに手応えはないけど、カットとフォークもいいところに決まって、3人で抑えられたのはよかった」

 ―中2日での登板。

 「1イニングだったので体の張りもそんなになかった。ただ先発と違ってトレーニングの強度も、本来であれば毎日投げる可能性があるかもしれないという準備をしないといけないので、トレーニングの負荷を上げられなかったり、量をこなせなかったり、そういうところでの違いはあった」

 ―コンディションは。

 「健康面は問題ないですし、(体の)張りとかも先発と違って(そこまで重くない)。トレーナーに聞きながら」

 ―メジャーで中継ぎとなれば、登板機会は流動的になる。

 「回数を重ねて経験が多い方がもちろんやりやすさというか、慣れてくると思うので。そこはあるんですけど、マイナーの試合は今日で終わりますし、上も負けられない試合がある。そこは僕がコントロールできるところじゃないので」

 ―救援でのやりがいは。

 「(マイナーでは)そこまで勝ちが重要視されていない試合なので、まだ達成感はないですし、勝ちパターンというわけでもないので、そこはちょっとまだ難しいけど、経験だったり、いろんな立場、役回りの人たちがどう思ってプレーしているかとか、そういう面ではプラスになっている」

 ◆9月のドジャース救援陣炎上(現地時間)

 ▽2日パイレーツ戦 同点の6回にエンリケスが3失点。

 ▽5日オリオールズ戦 同点の9回2死、スコットがサヨナラ被弾。

 ▽6日オリオールズ戦 山本がノーヒッターまであと1人で被弾。救援陣があと1死を奪えず、この回4失点でサヨナラ負け。

 ▽12日ジャイアンツ戦 1―1の10回にスコットがサヨナラ満塁弾を献上。

 ▽15日フィリーズ戦 7回にドライヤーが適時打と逆転2ランを献上。同点の10回にトライネンが決勝犠飛を許す。

 ▽16日フィリーズ戦 大谷が5回無安打無失点も、6回にロブレスキ、エンリケスが計6失点。大谷の50号などで追いついたが、9回にトライネンが決勝の3ラン被弾。

 ▽21日ジャイアンツ戦 シーハンが7回1安打無失点も、8回にトライネンが3失点で逆転負け。

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