◆JERA セ・リーグ 広島5―0巨人(23日・マツダスタジアム)
ドラ1・石塚が23日の広島戦(マツダ)でプロ初安打となる中前打を放った。記念すべき一打を喜ぶ埼玉・花咲徳栄の恩師・岩井隆監督(55)が、教え子の高校時代を振り返りながら、今後に期待を寄せた。
石塚が入学した瞬間、岩井監督の中に使命感が湧き上がった。右打ちで身長が180センチ以上ある大型ショート。足もある。肩もある。
「高卒で右打ちの内野手はなかなかいないし、いるチームは強い。野球界としてもみんなが待っているような存在。こいつはプロに行かせないといけないと思いました」
理解力には目を見張るものがあった。入学してから高校のスピードに戸惑うこともない。高校日本代表に選ばれてもすぐに木のバットに順応した。
「U18に備えて、打撃マシンを150キロにして目慣らししていきました。大学日本代表との練習試合でいきなり150キロのボールをヒットにしてすごいなと(笑)。どのレベルに行っても彼はいろいろ想像してできると思います」
学校では社会の教員。
「優等生でいい意味で目立たない。いつも学校では黒縁眼鏡をしていて、先生方からしたら『あの子がドラフト1位なんですか』みたいな感じでしたね」
高卒1年目。3月に左有鉤(ゆうこう)骨を骨折したが、復帰後に2軍では3割を超える打率を残し、1軍では初安打を記録。荒波を乗り越え、上々のプロ野球人生のスタートを切った。教え子のスマートさを分かっているからこそ期待を込めて、こう願った。
「もっと打つかもしれない。今は初見の投手から打っている。対戦を重ねるともう少し打つかもしれない。この投手はここを打った方がいいとか、この投手はこのボールが一番いいとか、そういうのが分かる人だから。長くやってくれればいいですね」