凱旋門賞・G1(10月5日、パリロンシャン競馬場、芝2400メートル)に参戦するクロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父キタサンブラック)。外厩として利用している滋賀県・ノーザンファームしがらきの菅原幸三厩舎長は、2歳の3月からクロワの成長を見守ってきた。

 「キタサンブラックらしい、すこし細い感じがする馬でしたね。背は高かったので、いい馬だなとは思っていましたが、ここまでとは…。思っていた以上でしたね」と菅原さんは目を細める。皐月賞はミュージアムマイルにかわされて2着。それでも、皐月賞のあとから状態は上昇カーブを描いた。「皐月賞前と状態が全然違ったので、このまま行けばと思っていました」と自信を胸に、ダービーの応援に東京競馬場に向かった。

 ダービー当日の異様な雰囲気にも、クロワデュノールは全く動じることはなかった。「最初から精神的には強かった感じですが、関西馬なのに関東で走っていたので、鍛えられたのかもしれませんね」。結果、その強い精神力も武器となり、好位から早めに抜け出す横綱相撲で快勝した。

 ダービーのあとはどう過ごしていたのだろうか。「しっかりと疲れを取って、リフレッシュさせました。乗り出したのがダービー1か月後ですかね。

遠征まで期間が短いので、逆算しながら進めていきました」と様子を見ながら調整してきた。栗東よりも少し気温が低いとは言え、気温が上がる前に乗るなど、今年の猛暑のなかでできる限りの万全のケアを施した。

 前哨戦のプランスドランジュ賞・G3(9月14日、パリロンシャン競馬場)を僅差ながらきっちりと勝利した。皐月賞からダービーまでの上昇度を考えると、本番ではもっといいコンディションで迎えられるはずだ。「前哨戦は結果をそこまで求めていませんでした。本番はあくまでも凱旋門賞なので。(プランスドランジュ賞を使ったことで)だいぶ変わってくる感じがします」と菅原さんもうなずいた。

 今年は挑戦する日本馬3頭が、それぞれ前哨戦を勝利した。そのなかでも、クロワデュノールはエース格と言える存在だ。「ダービー馬が行くので、ファンの期待も一番高いと思います。馬体をみるとまだまだ成長の余地、伸びしろがあるのかなあと思います。これから先、日本の競馬を引っ張っていってくれるような馬になってくれれば」と菅原さんはエールを送った。

勝負の時は、刻々と迫っている。(山下 優)

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