◆米大リーグ・ワイルドカードシリーズ第3戦 カブス3―1パドレス(2日、米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 カブス・鈴木誠也外野手(31)が、パドレス・ダルビッシュ有投手(39)を攻略し、ワイルドカードシリーズ(WCS)突破に導いた。本拠で行われた2日(日本時間3日)のWCS第3戦に「5番・右翼」で出場。

2回にダルビッシュから左翼線二塁打を放ち、決勝点につなげた。4日(同5日)からナ・リーグ中地区王者・ブルワーズとの地区シリーズ(S)に臨む。Rソックス・吉田正尚外野手(32)は敵地ヤンキース戦に「4番・DH」で出場し、マルチ安打を放ったが敗退。この日で地区Sを戦う8チームが出そろった。

 二塁ベース上で右拳を思い切り突き上げ、鈴木は格別なヒットをかみ締めた。両軍無得点の2回無死一塁。パドレス先発・ダルビッシュの甘く入った内角カットボールを捉え、左翼線に運んだ。打球速度103・5マイル(166・6キロ)の痛烈な二塁打。この回の2得点につなげてWCS突破に貢献し、「(自分が)打った打たない関係なく、とにかくチームが勝つように。勝ち切れて良かった」と一息ついた。

 憧れの先輩から“恩返し”の一打となった。年は8歳離れているが、誕生日が2日違いのダルビッシュは渡米後も親身になって相談に乗ってくれる存在。

「心の支え」と話すほど慕う兄貴分だ。尊敬してやまない39歳との大舞台での真剣勝負に「偉大な先輩。ポストシーズンで対戦できるのは特別で、一生忘れない」と感慨を込めた。

 試合後には本拠地のクラブハウスで今季2度目のシャンパンファイトを満喫した。大の仲良しで先制打を放った23歳の「PCA」ことクローアームストロングに追いかけ回され、勝利の美酒を全身で浴びた。楽しむときも全力。球団の公式カメラには両手の親指と人さし指で「WIN(勝利)」の頭文字「W」を作ってドヤ顔を見せ、公式インスタグラムには「SHOW THEM, SEIYA.(見せてやれ、誠也)」のメッセージを添えられて投稿されるなど、4年目ですっかりチームの顔となった。

 レギュラーシーズンを4戦5発で締め、日本人右打者ではともに史上初となる30発&100打点をクリア。ポストシーズン(PS)は全3戦で長打を放つなど、存在感は増すばかりだ。4日(同5日)からは地区S。敵地で今季メジャー最高勝率をマークした同地区のライバル・ブルワーズに挑む。

 「もう失う物も何もない。

どんどん攻撃的にいって、相手にプレッシャーをかけられるようにやっていきたい」。大舞台で人一倍の勝負強さを発揮する“神ってる”男が、無敵モードに突入しつつある。

 ◆神ってる 広島時代の16年6月に2試合連続で誠也がサヨナラ弾を放ち、緒方監督が「今どきの言葉で言うなら『神ってる』」と絶賛したことが由来。この年、初めて100試合以上に出場したシーズンながら29本塁打、打率3割3分5厘の成績を残してチームを25年ぶりのリーグ制覇に導いた。同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」では「ゲス不倫」「PPAP」「アモーレ」「ポケモンGO」「聖地巡礼」などを抑えて大賞に輝いた。

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