ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケートペアで、日本史上初めて金メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一(木下グループ)組が17日、連名で現役引退を発表した。「りくりゅう」を結成から7年、五輪金をはじめ世界選手権優勝など、数々の金字塔を打ち立ててきた。

日本フィギュアの歴史を紡いできた2人が、新たなステージに踏み出す。

 「りくりゅう」の出会いは19年7月。木原と三浦が、お互いに前のペアを解消し、新たなパートナーを探している時だった。共通の友人で、アイスダンス元五輪代表の小松原美里さんから、三浦が「龍一くんって、すごくいい人だよ」とアシストを受け、木原に声をかけた。7月末にトライアウトを実施。そこで木原は、衝撃を受ける。

 三浦を真上に投げ、身体を回転させる技のツイストリフト。投げた瞬間、木原は「雷が落ちた」と本能的に感じとった。「ここまで相性が合うんだ」と思えば、三浦も「感じたことのない高さ。『空中時間って、こんなに長いんだ』と」。「りくりゅう」最大の武器は、スピード感あるスケーティング。「2人とも大好き」と、相性は抜群だった。

木原は当時を振り返り「化学変化、そういったものがカップル競技に存在するんだな、と三浦さんと滑ってみて思いました」と、語っていた。

 「りくりゅう」は着実な成長を遂げる。2021年の世界選手権で10位となり、22年北京五輪の出場枠を獲得。同年には日本勢10季ぶりにGPファイナル進出を決めた(コロナ禍により中止)。北京五輪では日本の団体銀メダル獲得に貢献し、個人では日本勢最高(当時)となる7位入賞。23年には、世界選手権で日本勢初の金メダルを獲得。同一シーズンで主要国際大会を全制覇する「グランドスラム」を、全種目通じて初めて達成した。木原の腰のケガなどもありながら、世界屈指のペアとなった「りくりゅう」。優勝候補筆頭として臨んだミラノ五輪は、SP5位から大逆転の金メダルをつかんでみせた。

 プライベートでは粒あん派かこしあん派か、コーヒーに砂糖を入れるか入れないかで意見は分かれる。だが氷に乗れば「120%、信頼しています」という。息抜きのゲームは、9歳上の木原が基本は負け役。

五輪期間中は、人気ゲーム「桃太郎電鉄」にいそしみ、木原が妨害キャラなどで有利に立とうものなら“強制終了”。三浦が無敗を保ち、メンタルも好調をキープ。「璃来ちゃんが絶対勝つようになっている」と木原が言えば、三浦が「いえいえ、そんなことはない」という名コンビで、絆を深めてきた。

 結成から7年。木原は「この種目が広がるためには、ペアというカテゴリーがあることをもっともっとたくさんの人に知ってもらわないといけない。そのためには、僕たちが結果を出し続けることが一番の近道。僕たちが頑張ることが、日本のペアの将来につながる」と語っていた。五輪後「木原選手が引退するときは私も一緒に引退するとき」と、明かしていた三浦。“りくりゅう”として、一線は退く。今後は「女性のパートは三浦選手の方が分かっている。一緒に指導をしていきたい」と木原が語っていたように、後進の育成にも注目が集まる。

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