◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 「モンスター」井上尚弥と「ビッグバン」中谷潤人の世紀の一戦が迫ってきた。「モンスター(デビュー当初は怪物)」の名付け親の大橋秀行会長は、5人の世界王者を育てたチャンピオンメーカーであり、希代のニックネームメーカーでもある。

現役時代に「150年に1人の天才」「フェニックス」の異名で世界王者となった同会長は、昨年12月以降プロ転向を発表した次世代の「モンスター」候補を、「ザ・サンダー(片岡雷斗)」「ザ・キング(藤木勇我)」「ザ・ドリーム(片岡叶夢)」と次々に命名。“定冠詞3部作”で売り出し、ファンの期待を膨らませた。

 ボクサーの異名は、ファイトスタイル系(激闘王)、必殺パンチ系(神の左)、公募系(ザ・ムービー)など様々に類型化できる。「浪速の~」シリーズ(ロッキー、ジョー、闘拳)、名王者インスパイア系(お江戸のタイソン、東海のカマチョ)も外せない。80年代中量級四天王の一人、マービン・ハグラーは、愛称「マーベラス」を加えて戸籍上も改名した、なんていう逸話もある。

 「名は体を表す」。この言い回しはリングの上では半分、正しい気がする。「名」が先に相克をはらみ、「体」が解消していく。あるいは「体」が無残にはがれ落ちていく。例えば井上の「モンスター」も、当初はビジュアルのイメージと隔たりがあった。しかし、規格外のKO劇の数々が次第に言葉を引き取り、「名は体を表す」は事後的な真実となった。東京ドームで紡がれる「モンスター」と「ビッグバン」の物語。

勝者の「名」は伝説となる。(ボクシング担当・勝田 成紀)

 ◆勝田 成紀(かつた・しげき) 1998年入社。イチオシ愛称はプリモ・カルネラの「動くアルプス」。

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