◆プロボクシング ▽世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)4団体統一タイトルマッチ12回戦 〇統一王者・井上尚弥(判定)WBA&WBC&WBO同級1位・中谷潤人●(2日、東京ドーム)

 日本ボクシング史上最大の一戦を、モンスターが制した。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(33)=大橋=が挑戦者のWBA&WBC&WBO同級1位・中谷潤人(28)=M・T=との全勝対決に判定で勝ち、自身の歴代最多記録を更新する7度目の4団体統一王座防衛に成功した。

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 一つ一つの攻防が、非常にレベルの高いものだった。お互いパンチをクリーンヒットするシーンは少なかった。ともに最高級のテクニックを駆使して被弾を避けていたからだ。

 序盤は遠い距離の戦いだった。これは中谷の距離で、尚弥が入ってくるところに左を狙っていたはずだ。ところが、尚弥はトップスピードで接近してパンチをヒットし、そのままのスピードで下がり、的を絞らせなかった。中谷にしてみれば、遠い距離からストレート、フック、アッパーを打つのが得意だが、尚弥が相手ではできなかった。不用意にパンチを出せば、危険と隣り合わせになることを分かっていたからだろう。

 中盤以降は中谷もポイントの劣勢を感じたのか、距離を詰め、自分から仕掛けていった。その中でもスピード、パンチの的確性は尚弥に分があった。中谷が超一流のテクニシャンだというのは、この試合で改めて証明されたが、パンチ、スピード、テクニックとすべての部分で少しずつ尚弥が上回った結果が、このポイント差なのだろう。

 中谷はこれまで尚弥が対戦した選手の中では、一番の強敵だったに違いない。

2人の対戦を近い将来、もう一度見てみたい。尚弥は今後、さらに階級を上げるだろうから、次はフェザー級での対戦も面白い。中谷は体さえ作ればスーパーバンタム級よりもフェザー級の方がマッチしていると思う。体格的なことを考えれば、フェザー級では中谷が有利になっているかもしれない。(元WBC世界バンタム級チャンピオン・山中 慎介)

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