馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はメールドグラースが勝った2019年の新潟大賞典を取り上げる。

今はG1シリーズに欠かせないレーン騎手のJRA重賞初勝利。実は平成最後に行われた重賞だった。

 平成最後の重賞を、人馬ともにフレッシュなホープが締めくくった。重賞初挑戦の4歳馬メールドグラースは4角8番手から直線では外へ進路を選択。躍動感あるフットワークで加速していくと、鋭い脚で抜け出し、最後までしっかりと脚を伸ばし続けた。

 条件戦から上がってきたばかり。7番人気という低評価を覆し、3連勝で初の重賞タイトルを獲得。競馬ファンを驚かせたのは短期免許で初来日したばかりの豪州の若武者・25歳のレーンだ。「最初の3日間で結果を出すことができてハッピーです。非常にうれしい」と興奮で頬を紅潮させた。

 前日は東京で騎乗機会3連勝を含む4勝をマークしたレーン。冷静沈着な手綱さばきは、青葉賞(6着)に続く2度目の重賞でも光った。

「スタートを決めて、前に壁を作ってスムーズに運べた。最後も反応が良くて、馬が成長していると思う」と完璧にエスコート。清水久調教師は「僕のイメージしていた通り、追い出しを待って、初めて乗った競馬場とは思えない騎乗」と賛辞を惜しまなかった。

 その才能を見事に引き出した鞍上は「この勢いで2か月間、頑張りたい」と力強く宣言。その言葉通り、2週後のヴィクトリアMではノームコアでG1初制覇を果たし、リスグラシューを圧勝へ導いた宝塚記念まで2か月で重賞を6勝と圧倒的な存在感を示した。その後は毎年のように日本へやって来て、今では令和の日本競馬界を熱く盛り上げている。

 この重賞初挑戦がデビュー15戦目という遅咲きだったメールドグラースにとって、レーンとの出会いが運命を大きく変えた。次走の鳴尾記念でも勝利へ導かれると、川田騎手とのコンビだった小倉記念も勝利。勢いに乗って挑んだオーストラリア遠征では、再びレーンとのコンビでコーフィールドCに挑戦した。勝負どころから大外をまくって、そのまま突き抜ける豪快な競馬で優勝。海外でG1初挑戦の日本調教馬が勝利を挙げるのは史上初の快挙だった。

 続くメルボルンC(6着)後の21年2月、左前脚の屈腱不全断裂のため現役を引退。

その後はノーザンホースパークで乗馬になる予定だったが、トルコで種牡馬入りした。

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