◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 バレーボール界で異国の「リビング・レジェンド」に出会った。ソフトボールで上野由岐子(43)に憧れる後輩は多く「生きた伝説」と言われる。

大同生命SVリーグ男子の今季MVP、ドミトリー・ムセルスキー(ロシア)の存在も偉大だった。サントリーで2季ともにプレーした高橋藍(らん、24)も「世界NO1の選手」と尊敬してやまない。今季限りで引退した37歳は「MVPはキャリアを終えるにあたって最高のプレゼント」と喜んだ。

 身長218センチの高さを最大の武器に、2012年ロンドン五輪ではロシア代表を金メダルに導いた。18年にサントリー入りし、8季プレー。軟打も交ぜた攻撃の「うまさ」は世界屈指。今季はサーブレシーブ以外の4部門でリーグトップ5に入り、攻守で文句なしのMVP戴冠だった。

 慕われるのは技術だけではない。藍が学んだのは「姿勢」だ。試合中、苦しい場面でよくムセルスキーを見た。右人さし指を立てて数字の「1」を作り「1本ずつ」と冷静に鼓舞。その姿がチームに安心感を生んできた。

「準備。コーチの指示通りの練習を遂行しただけ」とムセルスキーは、首をすくめて話した。献身的な働きこそ、仲間たちに勇気を与えると体現してきた。藍も「ディマ(ムセルスキーの愛称)とプレーできたのは競技人生において財産」と感謝した。

 妻と11歳の息子も日本に呼んで戦った。今後は母国に帰り「家族との生活基盤をつくりたい。日本で過ごした日々は恋しくなる」と言うが、仲間もファンも同じ気持ちだ。惜しまれつつコートを去るレジェンドが残した功績は大きい。(五輪担当・宮下 京香)

 ◆宮下 京香(みやした・けいか)2018年入社。23年から五輪競技を担当。

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