◆プロボクシング ▽WBA世界スーパーフェザー級(58・9キロ以下)挑戦者決定戦10回戦 〇堤駿斗(2回TKO)フェリックス・バティスタ●(7月14日、東京・後楽園ホール)

 WBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦で、同級4位・堤駿斗(27)=志成=が同級11位フェリックス・バティスタ(29)=ドミニカ共和国=を2回1分25秒TKOで下し、王座挑戦権を獲得。11か月ぶりのリングで、圧巻のKO劇を演じた。

戦績は堤が9戦全勝(6KO)、バティスタが14勝(10KO)1敗。

 冷や汗をかいた直後に、真価を示した。初回終了のゴング後、バティスタが放ったパンチを顔面に被弾。「自分の注意力不足だった。一瞬フワッとなった。これも一つの勉強。ゴングが鳴ってもレフェリーが間に入るまでは気を抜くなということです」と自身を戒めた。だが、アクシデントにも動じなかった。

 「相手はチャンスだと思って2ラウンドの最初から来ると想定していた。意外と頭は冷静だった」。迎えた2回、左フックで最初のダウンを奪うと、再開後は右ストレートで再び倒し、最後はロープ際へ追い詰めて猛ラッシュ。レフェリーが試合を止めた。

「ムダに長引かせて勝てるほど甘い世界じゃない。決める時は決める。相手に調子づかせないよう、このラウンドで終わらせられるなら終わらせようと思った」。勝負どころを逃さなかった。

 アマチュア13冠の堤は昨年12月27日、サウジアラビア・リヤドで当時のWBA同級正規王者ジェームス・ディケンズ(英国)に挑戦する予定だったが、試合2週間前のスパーリングで右眼窩(がんか)底を骨折したため出場を辞退。同月に手術を受け、今年4月から実戦練習を再開した。

 昨年8月にサウジアラビアで2016年リオ五輪代表のカイス・アシュファク(英国)を3回TKOで下して以来11か月ぶりのリングだった。「入場も含めて、試合中のハラハラした感じも含めて、本当楽しかったです。勝負の世界は自分の想定よりも厳しいことがたくさん起こるな、ということを試合で味わえたのも良かった。これをまた自分のキャリアに生かしたいと思います」

 骨折後のリハビリ期間も気持ちは折れなかった。「自分にはボクシングしかない。何としてでも復帰して、もう一回大きな舞台に上り詰めるんだという気持ちで、ケガをした次の日からポジティブに切り替えた」。

支えとなったが、弟・麗斗の活躍や、ジムの先輩・井岡一翔から届いた激励のメッセージだった。

 「井岡さんもLINEで『俺がまず頑張るわ』とメッセージをくれた。大きな舞台で挑戦している姿を見て、まだまだ自分も挑戦していかなければならないという気持ちになった。人生、こうして挑戦している期間が、後々『青春』になると思う。弟や井岡さんやジムの先輩、後輩の活躍が刺激になります」

 WBA同級王者は、今年3月にディケンズを3―0の判定で下した元IBF同級王者のアンソニー・カカーチェ(37)=アイルランド=。WBAは同級暫定王者エルヌル・サメドフ(32)=ロシア=との団体内統一戦を指令している。

 堤は「WBAのチャンピオン、カカーチェとやりたい」と切望。佐々木修平会長も「一戦一戦、確実に成長している。とにかく世界戦をやらせたい」とゴーサインを出した。堤は「決まれば絶対に一発で取る。正直な気持ちは、年内にやりたい。必ずWBAのタイトル取ります」と世界王座奪取を力強く宣言した。

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