◆第108回全国高校野球選手権神奈川大会▽5回戦 市ケ尾3―1川和(18日・相模原ギオンベースボールパーク)

 神奈川は8強が出そろった。同じ横浜市北部にある県立進学校同士のマッチアップは、ノーシード校の市ケ尾が川和を下し、悲願の初となる8強入りを決めた。

両校ともに無失策の引き締まった攻防の中、先発した最速144キロのエース右腕・大塚遼(3年)は川和打線を6安打に抑え、1失点完投勝利。チームを準々決勝に導いた。

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 感極まった。激闘を終えた瞬間、今年度での異動が決まっている菅沢悠監督(39)の頬を、熱い滴が伝った。就任10年目。初の8強入りを成し遂げた。強豪私学がひしめき合う神奈川で唯一、公立校として準々決勝へ駒を進めた。

 「しんどかったです。目標は毎年毎年違うんですけど、一番高い目標を掲げた子たちが、きちっとそれを狙って達成するって、本当に難しいこと。それをやってくれたのが、本当に嬉しいです。大会入る時から、ずっと苦しくて。とりあえず、目標のところまで来た。

達成されたっていう喜びと安心と、両方です」

 本気で狙い、本気で準備して、ようやくたどり着いた。真剣に取り組んだからこそ、自身への負荷は大きかった。だがやり遂げた。熱き思いが胸いっぱいにあふれ出るのは、当然でもあった。

 エースの大塚は証言する。

 「菅沢先生が何試合も川和の試合を見てくれていて、打者のデータを分析して。どういう特徴があるから、ここに投げればこういう打球が出るだろうって分析してくれた。それ通りにちゃんと投げられたっていうのは、ポジショニングとかも含めて、本当に大きかった」

 指揮官の教えは、いつでも背番号1の胸中にある。

 「強豪私学、県8強に行くピッチャーは、ピンチになった時にギアを上げられるんだ。ピンチになった時に投げミスをしないんだ」

 夏が近づくにつれて、練習試合では「ピンチでの最少失点」を自らに課した。ゴールデンウィークぐらいから、複数失点がなくなってきた。両校の応援部隊がぎっしりとスタンドを埋めた夏の相模原。

成長した姿を大一番で披露できた。

 指揮官と過ごす最後の夏は、長い夏になった。準々決勝の相手は県内36連勝の難敵・横浜だ。大塚は力を込めた。

 「菅沢先生と2年半やってこれて、市ケ尾を選んでよかったという気持ちもあります。でも、ここで終わりではない。去年の春も横浜さんとやらせてもらい、自分も投げたんですけど、本当に完膚なきっていうか…どこに投げても打たれるっていう状況だった。でも、やれるところも絶対ある。絶対自分たちにもチャンスはある。立ち向かって、絶対勝ちたいです」

 舞台は横浜スタジアムに移る。集大成の熱い夏は、まだまだ終わらせない。(加藤 弘士)

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