日本相撲協会は31日、大相撲秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)の番付を発表し、藤ノ川(21)=伊勢ノ海=が新関脇に昇進した。京都府出身の新三役は1828年10月場所の緋縅(ひおどし)以来、198年ぶりとなった。

伯乃富士(23)=伊勢ケ浜=は鳥取県出身で1964年初場所の琴桜以来、戦後2人目の新小結。朝翠龍(26)=高砂=、寿之富士(26)=伊勢ケ浜=が新入幕を果たした。先場所優勝で大関に返り咲いた安青錦(22)=安治川=は東に座った。

 伝統のしこ名が輝きを増した。国技館で臨んだ昇進会見。藤ノ川は番付表を手に「番付の名前が大きくなった。新三役は今年の目標でもあったので、実現できてうれしい」と笑顔を見せた。先場所は東前頭筆頭で8勝7敗と勝ち越し。小結ではなく、一気に関脇に昇進したことに周囲も驚いていたといい「番付運が良かったと思う。入門した時は正直上がれると思っていなかった。稽古して頑張って良かった」とかみしめた。

 歴史の扉を開いた。

京都府出身の新関脇、新三役は1828年10月場所の緋縅以来、実に198年ぶりだ。当時は江戸時代後期で文政11年。幕府の第11代将軍・徳川家斉の治世だった。2005年生まれの藤ノ川は壮大な記録を聞き、「良かったです」と素直に喜んだが、実感が湧かない様子。ただ、伊勢ノ海部屋の関係者から冗談で後の大関の緋縅にあやかって改名するように提案され、きっぱりと断ったことを明かした。

 「藤ノ川」は伊勢ノ海部屋伝統のしこ名だ。明治時代の藤ノ川忠之助から受け継がれ、昨年7月の名古屋場所の新入幕を機に改名した自身が6代目になる。重圧はあったが、この1年で「皆さんに覚えてもらえ、名前を呼んでもらえる」となじんできた実感もある。4代目を名乗り、しこ名を譲り受けた先代・伊勢ノ海親方の最高位にも並んだ。

 初土俵から所要22場所での新関脇は、年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下付け出し除く)で史上10位のスピード昇進でもあった。177センチ、123キロの小兵ながら「体が小さい分、気持ちで負けないように」と、きっぷのいい相撲で沸かせてきた21歳。「久しぶりの三役ということもあって、応援してくれる人も増えてきている。

期待に応えられるように頑張りたい」。番付が上がっても、変わらぬ強い気持ちで勝負に挑む。(林 直史)

 ◆1828年の世相 江戸時代後期で将軍は11代目の徳川家斉。ドイツ人医師のシーボルトが日本地図を持ち出そうとし、国外追放処分。西郷隆盛が生まれ、俳人・小林一茶が死去。

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