今日は「図書館」の話題です。図書館では、常に新しい本や雑誌が並んでいますが、その当たり前が、いま少しずつ揺らいでいます。

一部の自治体では財政難から雑誌の購入を半分近くに減らしたり、維持できなくなった図書館の分館や分室そのものを廃止したりするといった事態が起きています。

図書館の資料費、どう変わった?

いま、図書館で本や雑誌を買うためのお金は、どれくらい減っているのか。全国の図書館を取り巻く現状について、公益社団法人 日本図書館協会・理事長 植松貞夫さんに聞きました。

公益社団法人 日本図書館協会・理事長 植松貞夫さん

正規の公務員である職員が減って非正規のいわば非常勤の人であるとか、その人たちの賃金がかかってきますので、そういう部分の経費が増えていて、資料費を縮小せざるを得ない、という感じです。毎年新しく買う本の数は、日本の公立図書館全体で言いますと、2004年度が過去最高でして、最も買った時期から4割ぐらい下がっているという感じですね。

例えば、都道府県立の図書館でいうと、ここ20年間で1自治体当たり1000万円ぐらい、図書の購入費用が減っているそうです。新しく入る本の数が減っている背景には、費用が減っている他に、図書館側の買い方の変化もあります。以前は、人気の本を同じ図書館で何冊もそろえることがありました。ただ今は、同じ本を大量に買うより、限られたお金をどう使うか、慎重に考える図書館が増えているということです。

雑誌カバーとレシートが広告スペースに

では、そんな中、図書館はどう本や雑誌を守ろうとしているのか。横浜市の図書館では、「雑誌のスポンサー制度」と「レシートを使った広告」という取り組みで資金を集めています。どういう仕組みなのか、横浜市中央図書館・調査資料課の石岡 瑞菜さんに聞きました。

横浜市中央図書館・調査資料課の石岡 瑞菜さん

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雑誌スポンサー制度は、図書館に雑誌を寄贈いただくと、雑誌の棚と、その雑誌の最新号のカバーそれぞれに広告を掲載することができます。図書貸し出しレシート広告は、利用者に図書を貸し出す際に、本のタイトルや返却期限を印字したレシート用紙を1回の貸し出しにつき1枚、利用者に渡しています。

このレシート用紙の下部に広告画像を掲載いただきます。横浜市全体の財政がいろんな課題を抱えている中で、どうしても図書館に割ける予算っていうのも厳しい状況が続いてますので。そういった状況に対して、継続して資料を提供できるようにするための財源確保の取り組みということで始めました。

新しい本が減っている? 図書館の小さな資金集め

雑誌スポンサー制度で提供された最新号の雑誌は、すぐに貸し出されず、しばらく図書館の中で読んでもらう形になるため、カバーについた広告が来館者の目に入りやすいそう。企業や団体にとっては地域に知ってもらうきっかけになり、図書館にとっては雑誌を置き続ける助けになるという仕組み。

新しい本が減っている? 図書館の小さな資金集め

一方レシートは、横浜市立図書館全体で年間およそ280万枚発行されており、こちらも多くの人の目に留まる仕組みです。

新しい本が減っている? 図書館の小さな資金集め

このレシート広告と雑誌スポンサーとあわせると、昨年度はおよそ128万円の収入になったということです。広告料金は図書館によって違いますが、レシート広告は月7000円または1万円。雑誌スポンサーは雑誌の購入代金のみで参加できます。これらの広告は、横浜市立図書館のホームページから随時申し込むことができるということです。

図書館の棚で届ける、幼稚園の思い

そして、この雑誌スポンサーには、企業だけでなく、地域の教育機関も参加しています。戸塚図書館では、戸塚区で幼稚園を運営する「学校法人赤い実」が、子どもや保護者に読んでほしい雑誌を支援しています。

なぜ幼稚園が図書館の雑誌を支えるのか。戸塚幼稚園の園長、森澤 克則さんに聞きました。

戸塚幼稚園の園長 森澤 克則さん

幼稚園というのは3年間子どもが通う場所ですので、3年経っちゃうともう縁が切れてしまう。ですから図書館の力を借りていろいろな人が幼稚園のことを思い出してくれるというメリットはあったと思います。それと雑誌を納めることを通じて、図書館の方と年に1回ぐらい、いろいろなテーマについて話し合うことができています。特に大事だと思うような雑誌で、まだ図書館が取り上げてないようなものを提案することもできる、棚の一部を広告の場所として借りているという面もありますが、それ以外に「こういったものをきちんと広めてほしい」という、私達にとってのプレゼンテーションの場である、そんな側面もあります。

図書館を選んだ背景には、幼稚園は地域の子どもたちが通う場所なので、遠くの人に広く知らせるより、実際に通える範囲の子育て家庭に届くことが大事だ、という考えがあったそう。今、支援しているのは、子育ての雑誌「月刊クーヨン」、星や宇宙の写真が楽しめる「月刊星ナビ」、小学生向けの科学雑誌「たくさんのふしぎ」。このうち「たくさんのふしぎ」は、もともと図書館側の候補にあったわけではなく、幼稚園側が「子どもたちに読んでほしい」と提案して、選ばれたものです。さらに今年度は、鳥に関する雑誌も提案する準備を進めているということです。図書館の棚が、地域からのおすすめを届ける場にもなっているようですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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