日本だけでなく、世界各国で長期間の休校措置が取られており、勉強が遅れてしまうのではと心配する親も増えている。しかし家で仕事をしながら毎食ご飯を作り、子供の遊び相手をし、さらに学校の先生の代わりとなるのは少々無理がある。
この悩みを解決してくれたのは、オーストラリアに住む10歳の少年。なんとバーチャルティーチャーを作り出したのだ。

オーストラリアに住む10歳のルーカス・ブキャナン君(Lucas Buchanan)の学校も閉鎖中であり、たくさんの宿題を出されている。ルーカス君は「たくさん課題があるから自分で何とかしようと頑張っていたけど、やっぱり自分で全部やるのはすごく大変なんだ」と話す。ルーカス君の両親も自宅勤務となり、近くでルーカス君が勉強を頑張っている様子を見守っていた。「頑張っているのは分かるのですが、手一杯になってしまって、ストレスを感じていると思います」と両親は語っている。


学校側も対策として、グーグルの教育現場のサポートツールである「グーグル・クラスルーム」や会議用アプリの「Zoom」を利用して、質問の受け付けやメールでのやり取りも行っている。しかし学校で先生と会話するのと異なり、すぐに返事をもらえないことや一日に1~2回しかオンライン上で質問ができないこともストレスの原因になっているようだ。

この状況を打破するために、ルーカス君はアプリで問題を解決しようと考えた。もともとプログラミングを学んでいたルーカス君は、アプリを作り出す基本知識は持ち合わせていた。その知識を活用して作ったのが「My Class Buddy」だ。簡単に言うと、アプリが学校の先生の代わりを担ってくれるのだ。
このアプリの最大の特徴は、音声サービス機能が搭載されていることにある。音声機能サービスとは、アマゾンが提供している「アレクサ」やグーグルが提供する「グーグルアシスタント」と似た物である。このような機能を搭載することで、バーチャルティーチャーが質問に答えてくれる仕様になっている。

開発されたアプリは自宅学習の補助を目的に作られており、自分で時間を決めて勉強するのがまだ難しい小学校低学年の子供に向いているだろう。アプリが今日やるべき課題を最初に指示すると、ルーカス君は早速「どうやって分数の計算をしたらいいの?」とアプリに尋ねる。するとアプリは「ステップ1~」と段階的に問題の解き方を教えてくれる。
さらに勉強を続けていると、「ルーカス君、長時間勉強し過ぎじゃない?」と休憩を取るように促してくれるのだ。このような高機能のアプリを10歳の子供が作れるとは、さすが現代っ子と言ったところだろう。

ルーカス君が作ったこのアプリは、10~21歳を対象にした「Coronavirus Youth Design Challenge」というコンテストに応募しているそうだ。このコンテストは、新型コロナウイルスが原因で起きた様々な問題を解決するアイデアを競うもので、審査にはグーグルやフェイスブック、マイクロソフトの代表者が関わっている。ルーカス君にインタビューを行った豪メディア『9News』によると、「ルーカス君の発明は近い将来活用されるかもしれない」とのことだ。

画像は『ABC 2020年4月24日付「Young people challenged to find solutions for life under COVID-19」(Supplied: Lucas)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)