NY市長マムダニ氏 Photo/Getty Images
模範受刑者への"特別なご褒美"
ニューヨーク市で最も悪名高い刑務所のひとつとして知られるライカーズ島刑務所で、ワールドカップ準決勝の観戦イベントが開催され、大きな話題となっている。
米『AP』によると、現地15日に行われたアルゼンチン代表対イングランド代表の準決勝では、模範的な生活態度を続けてきた受刑者が体育館に集まり、大型スクリーンで試合を観戦した。
ライカーズ島刑務所では今大会開幕以降、約90回の観戦会を実施。収容されている約6600人のうち、およそ4500人がイベントに参加したという。
観戦会では食事も振る舞われ、サラダ、サーモン、ペンネ・アラ・ウォッカ、チキンパルメザン、スナップルのドリンクなどが提供された。約21カ月収監されている受刑者のトーマス・マッコイ氏は、「スポーツバーのようにお酒は飲めないけど、それでもいい。久しぶりに本物の食事を食べることができた。本当に素晴らしい経験だった」と喜びを語った。
また、約4カ月収監されているビクター・カルダス氏は、自国エクアドル代表が敗退した後はアルゼンチン代表を応援しており、「居住棟でテレビの取り合いをすることなく、サッカーファンと一緒に試合を楽しめた」とイベントを歓迎した。一方、ラルフ・ビール氏は、20歳の息子がイングランド代表のファンであることからイングランドを応援。「アルゼンチンファンと同じテーブルだけど問題ない。ここはとても前向きな雰囲気だった」と笑顔で話している。
ライカーズ島刑務所は、過密収容や暴力事件などが長年問題視され、現在は連邦裁判所が任命した監督官の下で改革が進められている施設だ。改革計画では「暴力が依然として蔓延し、基本的な刑務所運営にも問題が残っている」と厳しく指摘されたばかりだった。
それでもニューヨーク市矯正局のスタンリー・リチャーズ局長は、「こうしたプログラムが刑務所内の安全につながる。受刑者にも人間として尊重される価値があることを伝えたい」と説明。ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長も会場を訪れ、受刑者たちと試合について語り合った。
アルゼンチンが終盤の2ゴールで逆転勝利を収めると、会場は歓声と拍手に包まれた。問題の絶えない刑務所で行われた異例のワールドカップ観戦会は、受刑者にとって束の間の息抜きとなったようだ。

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