先日、高校の同級生の集まりで、年金の「出口戦略」について話題となりました。皆64~65歳なので自宅に「65歳から老齢基礎年金を受け取るか」についての資料が届いています。

今日は、こうした年金の出口戦略を左右する「iDeCoの制度改正」について学べるクイズを出します。


【投資クイズ】iDeCo制度改正前に要確認:基礎年金は何歳か...の画像はこちら >>

今日のクイズ:第1問

 今回は、基礎年金の受け取りやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の制度改正についてのクイズを二つ出題します。


【第1問】


 日本の年金制度は「3階建て」といわれることがあります。大ざっぱに分類すると、3種類の年金制度が存在するからです。


 それを、【1階部分】【2階部分】【3階部分】と表現することがあります。


【1階部分】国民年金(基礎年金)
【2階部分】厚生年金
【3階部分】企業年金・私的年金


 それぞれの説明を、【A】【B】【C】から選んでください。


【A】全ての日本国民が加入する公的年金の「土台」


 20歳以上60歳未満の全ての人が加入し、保険料を納めることで、将来年金を受け取ることができるようになります。支給額は一律です。40年間保険料を納めると、満額受け取ることができるようになります。


【B】会社員や公務員が加入する公的年金の「上乗せ部分」


 支給額は現役時代の「報酬比例」。現役時代の給与や賞与に応じて保険料が決まり、将来の受給額が決まります。長く働き、高い報酬を得ている人ほど、将来の受給額が大きくなります。


【C】年金の上乗せ額を増やすためのさまざまな制度


 企業型の確定拠出年金(DC)や確定給付年金、iDeCoほか、さまざまな制度があります。


 今日のクイズは、60代の方に重要な情報が含まれています。もちろん、それ以外の世代の方にとっても重要な情報が含まれています。読者のみなさまに、ぜひ今日のクイズを解いて学んでいただきたいと思います。


第1問:正解

【1階部分】=【A】、【2階部分】=【B】、【3階部分】=【C】


【1階部分】公的年金の「土台」 全ての国民が加入


 20歳以上60歳未満の全ての人が加入、保険料を納めることで、将来年金を受け取ることができるようになります。支給額は一律です。40年間保険料を納めると、満額受け取ることができます。


 20歳から60歳になるまで40年間納めると満額になります。未納の年数があっても60歳以降も会社員として勤務を続けて保険料を納め続けると40年で満額となります。自営業者などでも60歳以降、任意で保険料を納めることで40年間納めると満額受給となります。


 専業主婦(主夫)は、第3号被保険者として、本人が保険料を納めていなくても将来基礎年金を受け取る権利が発生します。配偶者である会社員など(第2号被保険者)が保険料を納めていることが前提です。


【2階部分】公的年金の「上乗せ部分」 会社員・公務員などが対象


 支給額は現役時代の「報酬比例」です。現役時代の給与や賞与に応じて保険料が決まり、将来の受給額が決まります。

長く働き、高い報酬を得ている人ほど、将来の受給額が大きくなります。


 ただし、対象となるのは、会社員や公務員だけ。自営業者はこの部分については、対象となりません。


【3階部分】年金の上乗せ額を増やすためのさまざまな制度


 企業年金は、勤務先によって制度が異なる。企業型の確定拠出年金(DC)や確定給付年金については、制度がある企業とない企業があります。


 自営業者も含め、一定の条件を満たせば全ての人が加入可能なのが、iDeCoです。また、他にも、さまざまな私的年金制度があります。


 全ての国民が加入する公的年金の「土台」である「老齢基礎年金」は、満額受給すると
年額で84万7296円を受け取ることができます(2026年4月1日時点)。この金額は、マクロ経済スライド方式によって、将来的に少しずつ増える可能性はありますが、物価上昇に見合う増額とならない可能性があります。


 老後のゆとりある生活を維持するためには、会社員・公務員の場合は2階部分が重要です。また、3階部分もさらなるゆとりのために大切です。3階部分で、企業年金については、勤務先によって制度がある場合とない場合があります。


 3階部分について、自営業者・フリーランスの方を含めて全ての人が一定条件のもとで加入可能なiDeCoは、老後のゆとりにとって、とても大切な制度となります。


第2問

 2027年から、iDeCo制度が変わります。加入できる人の範囲がさらに広がり、年間の拠出可能額も大幅に拡充されます。


 それでは、第2問です。


【第2問】


 2027年1月1日から適用開始される新しいiDeCo制度について、正しい説明を以下【1】~【4】から選んでください。正しい説明を全て選んでください。


【1】1年間に拠出可能な金額が大幅に増額される。


 例えば、企業年金のない会社の会社員の場合、現行制度では月額2.3万円が上限ですが、それが最大で月6.2万円に拡大されます。


【2】一定の条件を満たせば、70歳になるまで加入できるようになる。


 現行制度ではiDeCoに加入できるのは「65歳になるまで」ですが、「70歳になるまで」加入できるようになります。


【3】60歳以上で加入するための条件が大幅に緩和される。


 会社員として働き続けている(第2号被保険者である)、あるいは国民年金保険料を任意拠出しているなどの条件はなくなり、幅広い範囲の人が加入できるようになります。


【4】60歳以上70歳未満の人でも、老齢基礎年金を受給している人、iDeCo受け取りを開始している人は、加入できない。


 60歳になると、iDeCoを一時的または年金方式で受け取ることが可能になります。受け取りを開始すると、iDeCoに加入できなくなります。iDeCoは、60歳から75歳になるまで、受取時期を自由に選べます。受け取るまで、非課税での投資が継続されます。60歳以降もiDeCo加入を続けるためには、受け取りを開始しないで非課税での投資を継続する必要があります。


 また、老齢基礎年金の受給を開始している場合も、iDeCoには加入できません。公的年金(老齢基礎年金)は、通常は65歳から受け取ることが可能になります。ただし、受給を開始すると、iDeCoには加入できなくなります。


 iDeCo加入を続けるためには、受給開始時期を遅らせる必要があります。受給開始時期は、65歳から75歳の間で、自由に選ぶことができます。受給額は1カ月遅らせるごとに0.7%増額されます。


 老齢基礎年金は、一定の条件を満たせば60歳から「繰り上げ受給」することもできます(受給額は1カ月につき0.4%減額)。

ただし、繰り上げ受給すると、60歳以降、iDeCoに加入できなくなります。


 以上、基礎年金を受給するとiDeCoに加入できないことを覚えておいてください。厚生年金や企業年金を受給していても、老齢基礎年金を受給していなければ、iDeCoへの加入は可能です。


第2問の正解

 第2問の正解ですが、【1】【2】【3】【4】全て、正しい説明です。これを踏まえて、iDeCo活用、年金の出口戦略をどうしたら良いか、私の考えをお伝えします。


 その前にまず、iDeCo制度の節税メリットについて解説します。以下、三つの節税メリットがあります。


【1】掛金が所得控除となる


「掛金を出したら、その掛金の金額だけ、その年の課税所得を減らせる」という意味です。


 例えば、毎月1万円ずつ掛金を出していったら、1年間で12万円拠出することになります。その年の課税所得から12万円控除することができます。課税所得500万円の場合、掛金が12万円ならば、その20%(2万4,000円)所得税が減り、10%(1万2,000円)地方税が減ります。


 なお、自営業・フリーランスなどで国民健康保険に加入している場合は、掛金をかけて所得控除を受けて課税所得を減らせば、保険料が減る場合もあります。保険料は前年の所得によって決まる仕組みだからです。


【2】運用益が非課税となる


 投資信託などで運用した時に得られる配当金や売買益などが、非課税となります。


【3】受取時にも非課税メリットがある


 退職所得として一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。また、年金型で受け取っていく場合は雑所得として「公的年金等控除」が受けられます。受け取り方法を工夫すれば、非課税で受け取る部分を大きくすることも可能です。


 上記の三つの中で、すぐにメリットを感じることができるのは、【1】掛金が所得控除になることです。60歳以上も働き続け、課税所得があり、収入にゆとりがある場合は、iDeCoを続けるメリットが大きいと私は思います。


 60歳以上でiDeCoに加入するための条件が2027年から大幅に緩和され、これまで加入できなかった方も加入できるようになる可能性があります。ぜひ一度、検討してみると良いでしょう。


 月額の拠出上限が大幅に拡大するメリットも大きいです。企業年金などのない会社員の場合、最大月6.2万円となります。無理しない範囲でがんばって月6.2万円拠出すると、年74.4万円の拠出となります。課税所得を74.4万円も減らせるメリットは大きいと言えます。


 ただし、老齢基礎年金を受給している人、iDeCoの受け取りを開始している人は、iDeCoに加入できません。iDeCo加入を続けるためには、基礎年金の受け取りを遅らせる必要があります。


65歳以上も働き続けて収入にゆとりがあれば、基礎年金の受給を遅らせてiDeCoを続けるメリットがある

 65歳以降も働き続ける人が増えています。課税所得があって、収入や資産にゆとりがある場合は、iDeCoを続けるメリットが大きいと思います。そのためには、老齢基礎年金の受給を遅らせる必要があります。受給開始の申請書を提出しなければ、自動的に受給時期は繰り下げられます。


 先行き収入が急に減り、iDeCo加入を続けられなくなる場合、いつでもその時点で、老齢基礎年金の受給を開始することができます。65歳以降、受け取らなかった分を、最大5年分までさかのぼってまとめて受給することもできます(その場合は繰り下げ受給による月額受取額の増額はありません)。


 あるいは、受給開始時点で、65歳以降の受給額をさかのぼって受け取らなければ、月額の受取額増額を生涯享受することができます。その時の健康状態や資産に応じて、どちらか選択すれば良いと思います。


年金出口戦略、窪田の提案

  • 65歳以降も働き続け、資産に余裕があるならば、65歳になってすぐは老齢基礎年金は受け取らない。
    iDeCoを続けて、節税メリットを生かす。
  • 健康状態や資産状況が変わりiDeCoを続けられなくなったら、その時点で、老齢基礎年金の受け取りを開始する。
    その時、最大5年さかのぼってまとめて受給するか、繰り下げ受給で受給月額が増えるのを生涯享受するか、選択する。
  •  上記はあくまでも筆者の考えで、個人個人の事情により適切でない場合もあります。最終的な判断はご自身でなさってください。また、制度内容は変わる可能性があります。常に最新の情報を参照してください。


     また、今日は、重要なことだけ理解していただくために、あえて詳細の説明を割愛しています。皆さまお一人お一人の事情を勘案したより詳しい説明は、税の専門家に問い合わせてください。


    (窪田 真之)

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