半導体株への一極集中の動きに過熱感が強まっています。今後、米国税還付の一巡、イラン情勢の改善などをきっかけに、物色シフトが強まる可能性があると見ます。

その際、日経平均は調整する公算ですが、高配当などの出遅れ株に関心が向かうと判断します。なお、不透明な事業環境下、アナリストの評価は重視すべきでしょう。


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半導体関連株一極集中の動きを背景に、日経平均株価は急反発

 4月第1週から5月第2週(4月3日終値~5月8日終値)までの日経平均株価(225種)は18.1%の上昇でした。3月の月間下落幅は7,786円で過去最大となっていましたが、4月は一転して8,221円高と、過去最大の月間上昇幅を記録しました。


 4月16日には2月26日の過去最高値を更新し、4月23日には初の6万円台乗せを果たしました。5月に入っても上昇のペースは衰えず、5月7日には3,320円高となり、1日の上昇幅は2024年8月6日の3,217円を上回って過去最大を更新しました。


 原油価格の高止まりや地政学リスクといった懸念材料が存在する中で、株価が上昇した背景には、半導体関連株へ投資資金が一極集中している状況が挙げられます。


 とくにサプライズを誘う材料が新たに表面化したわけでもないものの、米国市場でSOX(半導体株)指数は、4月以降先週末までで実に55%の上昇となっている状況で、日本での半導体関連株のツレ高につながっています。半導体株は指数インパクトの強い銘柄が多いため、日経平均株価を実態以上に押し上げている印象です。


 この期間で上昇が目立った銘柄としては、やはり半導体株や人工知能(AI)関連株が挙げられます。半導体株のリード役となっているキオクシアホールディングス(285A)、半導体関連株の中では出遅れ感が意識されていたSUMCO(3436)などがこの期間で株価は倍化しました。


 ソフトバンクグループ(9984)、武蔵精密工業(7220)、三井金属(5706)などデータセンター関連の中心銘柄のほか、村田製作所(6981)や太陽誘電(6976)などの電子部品大手も、AI関連として見直され、50%以上の株価上昇となっています。


 半導体・AI以外への広がりとしては、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)、ツガミ(6101)、DMG森精機(6141)など、設備投資関連の一角が人気化の兆しを見せています。


半導体株一極集中の流れには変化が生じる可能性も

 半導体セクターのRSI(買われ過ぎ・売られ過ぎを表すテクニカル指標)は1999年以来の最高水準に達しており、過熱感は否めません。ここまで、「株価が上昇しているから買われる」という循環となっていた面もあり、今後はこの半導体株一極集中の動きにも変化が生じてくると判断します。


 米国では現在、税還付のタイミングにあり、株式市場にとって需給面で良好な状態にあるといえます。ただし、還付された資金が半導体株に集中的に流れていたとも考えられ、税還付が一巡する5月中旬以降は、買われ過ぎの反動が顕在化するかもしれません。


 さらに、イラン情勢の不透明感が続いていたことから原油高の影響を受けにくい半導体・AI関連株へ資金が避難していましたが、イラン情勢が改善に向かえば、出遅れ銘柄への資金シフトが進み、半導体一極集中は沈静化する可能性もあるでしょう。


 8日には米国とイランの間で再び軍事衝突が発生するなど、中東情勢は現在も不透明ですが、5月14日から15日に予定されている米中首脳会談を機に、イラン情勢の状況改善に向けた流れが強まる可能性は高いと考えられています。


 しかし、現在の株式市場はすでに戦争の早期終結期待を織り込んでいる印象も強く、戦争終結に伴うポジティブな影響は限定的かもしれません。一方、米中首脳会談後も中東情勢に変化が見られない場合、ガソリン価格上昇による個人消費の先行き懸念、原油高や資材調達難による企業収益への影響が強く意識され、長期化リスクが再燃する恐れもあります。


 今後、5月14日にはアプライド・マテリアルズ(AMAT)、20日にはエヌビディア(NVDA)が決算発表を予定しています。期待感が先行する可能性もありますが、決算発表後の出尽くし感の強まりなど警戒感を強めておくべきと判断します。


 また、5月15日までは国内でも大手電線株などAI関連株の決算発表が集中します。こちらも材料出尽くしと捉えられてしまう余地は大きいとみます。むしろ、今回の決算発表では、業績見通しなどが嫌気されて、短期的に一段安となるような銘柄の押し目買いに注目したいところです。

高配当利回りなど、割安感の強い銘柄は、より投資妙味が広がりそうです。


アナリスト評価の高い出遅れ銘柄に注目

 イラン情勢の不透明感が拭い切れていない中でも、4月以降の日経平均株価は半導体やAI関連銘柄を中心に買いが進み大きく上昇しました。しかし、これらの銘柄群は過熱警戒感も強まっていると判断されます。イラン情勢の改善をきっかけに、出遅れ銘柄への資金シフトが進む可能性も考えられます。


 ただ、株価が低迷している銘柄の中には、構造的な変化がその要因となっているものもあるとみられます。こうした状況下、アナリストの評価が高い銘柄には相対的に買い安心感は強いと考えられるでしょう。アナリストの評価が高い(コンセンサスレーティングが高い)、かつ、株価の出遅れ感が意識される高配当利回り銘柄に注目します。


(表)アナリスト評価が高い株価出遅れの高配当利回り銘柄 コード 銘柄名 配当利回り(%) 5月8日
終値(円) 時価総額
(億円) 株価騰落率(%) コンセンサス
レーティング 6436 アマノ 4.90 3,676.0 2,613 ▲9.75 4.0 2154 オープンアップ
グループ 4.83 1,761.0 1,599 ▲9.55 4.0 2124 ジェイエイシー
リクルートメント 4.49 847.0 1,402 ▲16.47 4.5 8016 オンワード
ホールディングス 4.42 746.0 1,058 ▲2.10 4.5 3612 ワールド 4.41 1,519.0 1,171 ▲3.40 4.0 (注)配当利回りは会社予想ベース
(注)株価騰落率は3カ月前比
(注)オンワード、ワールドは2月、オープンアップは6月、JACリクルート、サカタインクス、東亜合成、KHネオケムは12月決算、他は3月決算
(注)すべてプライム市場上場 銘柄選定の要件
  • 配当利回りが4.0%以上(5月8日時点でのコンセンサス予想ならびに会社予想)
  • 時価総額が1,000億円以上
  • コンセンサスレーティングが4以上
  • 3カ月前比での株価騰落率がマイナス
  • 3月決算銘柄は2026年3月期決算を5月8日時点で発表済み、2027年3月期の配当計画を公表済み
  •  表は、楽天証券のスーパースクリーナーにおいて、上記要件に絞って銘柄をスクリーニングしています。


    厳選・高配当銘柄(5銘柄)

    1 アマノ(6436・東証プライム)

     勤怠管理や入退室管理、人事・給与などの就業管理システムを手掛け、働く人の5人に1人が同社の勤怠管理ツールを利用しているとされています。


     また、国内シェア60%を占めるゲート式駐車場など、パーキングシステムも主力事業としています。ほか、業務用清掃ロボットのパイオニア企業であるほか、集塵(しゅうじん)機でも国内トップシェアとなっているようです。海外売上高は5割近い構成比を占めています。


     2026年3月期営業利益は225億円で前期比2.1%減となりました。新紙幣特需の反動減などによって、パーキングシステムの売上が伸び悩んだことが要因となります。

    2027年3月期は240億円で同6.4%増に転じる見通しです。新管理システムの拡販や駐車場運営事業の受託事業強化などで、主要セグメントの増収を見込んでいます。


     決算発表と同時に新中期計画を公表しています。2029年3月期の数値目標として、営業利益280億円などを掲げています。また、株主還元方針の変更も発表、これまで、配当性向40%以上、総還元性向55%以上を目標としていましたが、それぞれ60%以上、70%以上に引き上げています。


     2026年3月期業績が会社計画を下振れたことも嫌気され、足元で株価は一段と調整していますが、もともと業績の安定感は強く、一段の業績悪化リスクは乏しいように感じられます。今後は豊富なキャッシュを生かした積極的な事業展開を期待したいところです。


    2 オープンアップグループ(2154・東証プライム)

     機電・ITエンジニア派遣と建設業界への技術者派遣が主力事業となっています。2026年3月末時点での技術社員数は2万4,108人、2025年6月末時点での取引企業数は3,228社となっています。中国、インドネシア、ベトナムなど海外でも事業展開を行っています。買収や合併(M&A)を積極的に展開しています。


     2026年6月期第2四半期(2025年7-12月期)営業利益は90億円で前期比1.0%増となっています。英国事業売却の影響で売上高は大きく減少しましたが、機電領域における体質の改善効果、建設・IT関連領域における採用費抑制などで、利益率は向上しています。


     2026年6月期通期では165億円、前期比1.6%増を見込んでいます。退職率改善などの施策効果の浸透も想定されます。


     建設領域では賃上げなどの各種施策を実施し、退職率の改善を進めています。また、IT領域では統合により混乱した営業体制の再構築、AI時代に対応した人材の育成・教育などを進めており、現在は体質強化の最中である状況です。機電分野はいち早くその効果が表れており、今後の収益性改善の蓋然(がいぜん)性は高いと考えられます。


     株主還元方針としては、配当性向を60%以上に引き上げ、2026年6月期年間配当金は前期比10円増の85円を計画しています。AIの進化による人材需要の縮小などが懸念され、株価はさえない動きとなっていますが、人手不足感の強い建設領域での退職率改善などが一段と表面化すれば、成長期待が再燃する可能性があるでしょう。


    3 ジェイエイシーリクルートメント(2124・東証プライム)

     人材紹介を中核とする人材サービス会社です。海外進出関連業務などインターナショナル領域で活躍する管理職人材、エグゼクティブ、スペシャリスト人材などの領域に特化したサービスを提供しています。


     2025年12月期営業利益は116億円で前期比28.5%増となっています。注力している金融、IT、ヘルスケアなどの分野では人材需要が依然として好調。とりわけ、ミドル・ハイクラス人材の動きが活発な状況のようです。海外事業も黒字化を果たしました。


     2026年12月期は126億円で同7.8%増の見通しとなっています。売上高は15%前後の高い成長を続ける想定ですが、前年度から繰り延べられた基幹システム費用の計上などによって、増益率はやや鈍化すると想定しています。


     人手不足が強まっている状況下、とりわけ、企業が欲するハイクラス人材を多く抱える同社にとっては、良好な事業環境が続く見通しにあります。大企業で進む賃上げの流れも派遣単価の上昇などにつながっていく公算です。株主還元も強化しており、これまでの配当性向60~65%から、今後は配当性向65%以上を目指すとしています。


     また、2026年12月期からは中間配当も実施予定です。年間配当金は前期比2円増の38円を計画しています。増益率鈍化見通しを受けて株価は低迷していますが、下値の底堅さは意識されつつあります。良好な事業環境、コンサルタントの順調な採用状況から、早晩、成長期待があらためて高まる展開が想定できます。


    4 オンワードHD(8016・東証プライム)

     総合アパレルメーカーで、「23区」「ICB」「自由区」「J.PRESS」「GOTAIRIKU」などが主要ブランドとなっています。従来は百貨店が主要販路でしたが、現在はショッピングセンターやECチャネルが拡大しています。売上構成比は国内が約9割を占めています。


     2026年2月期営業利益は116億円で前期比14.3%増となりました。

    国内グループ会社が増収をけん引、販路別ではショッピングセンターやECが大幅な増収となっています。海外事業も11期ぶりの営業黒字化を実現しました。


     2027年2月期は128億円で同10.3%増の見通しです。成長事業に経営資源を集中して売上拡大を図るほか、在庫管理の徹底や店舗運営効率化などで収益性を高める計画です。海外では米国事業の収益改善を目指します。


     百貨店偏重からの脱却、株主還元の強化姿勢など、足元で経営改革が進んでいる印象にあり、業界内では相対的に割安に放置されてきた状況の変化が今後見込まれます。また、国内子会社の成長によって、オンワード樫山の業績に左右されてきたこれまでの状況から、安定した成長期待も高まる方向にあります。


     配当方針は配当性向の目安を40%以上としており、2027年2月期配当金は前期比3円増の33円を計画しています。今後は事業統合の動きも進めていく可能性があり、一段の収益性向上につながると期待されます。急速な利益成長期待などは高めにくいですが、高い配当利回り水準などから、長期的な株価の水準訂正が期待できると考えます。


    5 ワールド(3612・東証プライム)

     総合アパレルの大手企業で、「UNTITLED」「INDIVI」「TAKEO KIKUCHI」など、2025年2月末現在で71のブランドを展開しています。モール運営などの「デジタル事業」、OEMや販売代行などの「プラットフォーム事業」も手掛けます。


     2026年2月期営業利益は160億円で前期比4.2%減となりました。実質的に5期ぶりの減益となった形です。主要なアパレルブランドが不振で、既存店売上が伸び悩んだことが背景です。3月に会社側で下方修正を発表しています。


     2027年2月期は175億円で同11.5%増と増益に転じる見込みです。アパレル事業の在庫はおおむね適正水準で、今後は仕入れコントロールなど進め、業績回復に向かうものと想定されます。なお、3月、4月は依然として、国内既存店売上の伸び悩みが続いています。


     2027年2月期から配当方針を変更、配当性向40%以上もしくは株主資本配当率(DOE)5%以上のいずれか高い方を目安に、累進的な配当政策を採用するとしています。それに伴い、年間配当金は67円を計画、前期比では実質12.5円の増配となります。


     これまで積極的なM&Aで事業モデルの転換を図ってきていますが、今後も、これまで取得した企業とのシナジー追求、ならびに、財務レバレッジ活用による積極的なM&A継続方針を示しています。株価は2026年2月期の業績下方修正などをマイナス視して伸び悩む状況となっていますが、国内既存店売上の回復が確認されれば、成長期待が再燃していくものと判断します。


    (佐藤 勝己)

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