米メモリー・半導体株相場は、4月からの高速ラリーにようやく自律調整場面を迎えた。原油高・金利高の影響次第とはいえ、買い遅れの投資家が少なくないことから、6月早々から持ち直すとみる。
サマリー
●米メモリー・半導体株相場は、4月からの高速ラリーがようやく調整反落
●反落は原油高・金利高の影響はあるが、基本は自律調整であり、6月には持ち直すとみる
●【6月相場】5月の急騰銘柄ほど、反落の余波が残り、短期波動になる可能性
想定に近い自律調整
4月以降、米国とイランの停戦交渉の行方を横目で見ながら、米国株のメモリー・半導体ラリーは急速に進行しました。しかし、速い相場はそれ自らが自律調整の力学を生みます。当社モデルは、5月半ば辺りにはさすがにラリーも一服かと示唆していましたが、ほぼそれに沿った展開になっています。
この相場反落は、原油高を背景に米長期金利が4.5%を超えて上昇したことで、促された面もあります。自律調整プラスアルファの反落の様相に、投資家の不安もあおられました。しかし、相場全体が弱気に転じたわけではないと判断する現象が見られます。
ローテーション
その第1はローテーションです。急伸したメモリー・半導体および関連のAIハード株の下落場面では、割安領域まで売られていたAIソフト株の反発が見られました。アンソロピックのクロードで新技術が発表されると、「SaaSの死」とまでいわれて下落したAIソフト株の見直し買いです。
またAI関連株の下落に対しては、景気・バリュー株の買いが見られます。原油高を受けたエネルギー株はもとより、ヘルスケアや公益などディフェンシブ株も買われました。このため、テック株の比重が高いナスダック総合指数の下落に対して、景気・バリュー株の比重が大きいダウ工業株30種平均は底堅さを保っています。
第2は、投資家の押し目買い意欲です。
相場全体が売られるわけではなく、ローテーションで買われる株があることが、不安を緩和する一因でしょう。さらに何よりも、ここまでの急速上伸してきたAI株相場に乗り遅れている投資家が少なくないことがうかがわれます。
5月20日の相場持ち直し場面では、出遅れ不安に駆られたかの買い急ぎも推察されました。図1の20日移動平均線など、テクニカルなサポートが意識されたことも、相場の持ち直しに一役買ったと思われます。要は、相場が止まりさえすれば、買いたいと待ち構えている投資家層が見込まれます。
<図1>SOX指数(ローソク足、20・50・100日移動平均)
この日は、トランプ米大統領がイランとの停戦交渉が「最終局面」と語ったと報じられたました。それにより原油価格が下落し、長期金利が軟化したことで、もう一段のAI株の反発が促されました。要は、原油と金利次第の相場という側面は残ります。それでも、相場自体の下地は悪くないと言えます。
AI株相場の持続力
そもそもAI株相場が、中東情勢を警戒すべき場面でいち早く上昇し始めた理由は、原油高や金利高があっても、AIインフラ構築の流れは続くという想定が根強いことが挙げられます。
図2は米ハイパースケーラー4社の設備投資の推移です。
<図2>米ハイパースケーラー4社の設備投資
この巨額の投資は、米景気への下支え効果はもちろんですが、AI関連需要の拡大へ波及効果をもたらします。
あまりに巨額な投資は、「果たして収益で回収できるのか」「採算に乗るのか」という懸念を喚起するでしょう。しかし、4社が4月の決算公表時に示した2027年に7,000億ドルへ倍増する設備投資計画の大きさは、採算懸念よりも、波及する需要の大きさへの期待を高めました。それがメモリー・半導体ラリーを加速させたとも言えます。
もちろん、相場には留意すべきことがあります。急伸する株価のバリュエーション問題を意識することです。2023年以来のAIラリーの中でも、最初は、AIの実態が分からない中でGAFAM5社なら何かできるのではないかと株高になり、次にエヌビディアが主役として相場をけん引しました。
やがてエヌビディア株の周辺で、AI向けのサーバー、ソフトウエアが物色買いされました。そして建設ラッシュのデータセンターの運営にボトルネックになると観測された電力関係の株が急伸しました。しかし、それぞれ既にピークアウト感が出て、一頃の勢いは見られません。
最近の花形は、メモリー、ハードディスクなどストレージの銘柄です。
ただし、メモリー企業は、需要を満たす供給のめどが立つと、不況に陥る循環銘柄として認識されることには留意が必要です。それでも今後もAI株相場のリーダー役は、データセンター運営への関連株、フィジカルAI、宇宙・防衛・医療など応用分野の株など変遷しながら現れるものとみています。
留意すべき問題
相場は、期待が高まれば、自ら反落の力学を生み出します。また速い相場の上昇に目を奪われると、過剰な期待の暴走にも気が付かなくなるものです。相場の上昇自体が、相場高を裏付けるファンダメンタルズへの過信を正当化してしまうのです。
例えば、米AI株相場の進捗(しんちょく)の裏付けがデータセンターなど巨額の設備投資であるなら、その投資自体の進捗状況が問題になるかもしれません。ボトルネックになると警戒(期待)された電力は、発電所の新設が環境問題や住民の反対などで株高を一服させる一因になりました。
データセンターの用地買収、その運用が招く電力高への反感、建設資材の高騰、建築スタッフ不足などで投資の進捗が滞れば、メモリーや半導体の需要の滞りを招くリスクにもなります。
また、景気、金利などマクロ・ファンダメンタルズにも高をくくれるわけではありません。最近のAIソフト株の下落が、ビットコイン相場と密接に連動し、それがプライベートクレジット問題と関係しているとの指摘がありました。思わぬところでリスク要因がリンクしているのです。
6月相場への視点
足元の米AIハード株の反落は、原油高、米金利高も関わっているとはいえ、基本は自律調整として捉えています。
ただし、あまりに速かった相場上昇に対して、反落が深まると、相場に余波が残るものです。5月のようにほとんど押し目らしい押し目のないラリーとは異なり、比較的短期の波動を繰り返すかもしれないとみています。急伸ぶりが目立つ銘柄ほど、このパターンになりやすいでしょう。
もっとも、相場波動の高下にメリハリが効くということは、投資家にとってリスクであると同時に、買い場のチャンスが繰り返しもたらされるとも言えます。スイング投資なら、一方的なラリーに飛び乗るのもはばかられた5月より、楽しめる場面が増えるというイメージです。
長期投資家なら、こうした相場波動はノイズとして、鈍感力を発揮して無視してもよいものです。ただし前段で述べたように、相場に内在する大きなリスク要因は常時意識しておく必要があります。
*本稿は個別銘柄を推奨するものではありません、投資はご自身の判断と責任において行ってください。
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(田中泰輔)

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