先週はコンデンサーや電源装置メーカーの株価が急騰し、新たなAI周辺株の発掘相場で日本市場は沸き返りました。今週はAIサーバー向け電子部品株と、ソフトウエア株の反転にも期待できそうです。

米国・イラン和平交渉は停滞中ですが、ホルムズ海峡開放が具体化すれば、ナフサ高騰などに足を引っ張られてきた景気敏感株が全面高する可能性も。


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今週のトピック:キオクシアHDが投資家向け説明会。米国の5月雇用統計

日付 イベント 5月31日(日)まで ・米国・イランの最終的な和平交渉は進展せず 6月1日(月) ・米国で5月ISM製造業景況指数
・米国でヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が決算発表 6月2日(火) ・キオクシアHD(285A)が投資家向け説明会
・米国で4月雇用動態調査の求人件数 6月3日(水) ・日銀の植田総裁が民間講演。6月利上げ観測高まる?
・米国で5月ADP民間雇用統計、5月ISM非製造業景況指数
・米国でブロードコム(AVGO)、クラウドストライクHD(CRWD)が決算発表 6月5日(金) ・米国で5月雇用統計

・日本時間4日(木)早朝の米国人工知能(AI)半導体メーカー・ブロードコム(AVGO)の決算発表などでAI関連株の上昇が続く? 今週はコンデンサー株に加え、ソフトウエア関連株も反発しそう


・米国とイランの和平交渉成立でホルムズ海峡開放のめどが立てば全面高! 交渉停滞なら上がり過ぎたAI株に利益確定売りも?


・5日(金)の5月雇用統計など米国の重要雇用・景気指標が相次いで発表。底堅い結果になると利上げ観測浮上で、株価には逆にネガティブに?


6月1日(月)の日経平均

 前営業日比33円高の6万6,363円で続伸スタート。前週末の米株高やAI・半導体株の押し上げもあり、前場では初の6万7,000円を突破、史上最高値を更新しました。後場になり上げ幅を縮小、6万6,900円台で推移しています。(6月1日14時現在)


今週のマーケット:AI関連株の「発掘」相場続く?最高値相場の死角は
日経平均株価のチャート図

先週(5月25日~5月29日)の主要株価指数   終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万6,329円 +2,990円 +4.72% TOPIX 3,957.1pt +64.7pt +1.66% ダウ 5万1,032ドル +452ドル +0.90% S&P500 7,580pt +106pt +1.43% ナスダック 2万6,972pt +628pt +2.39%

今週のマーケット:AI脅威論を克服したソフトウエア関連株が反発!?AIの主力株キオクシアHDは好材料出尽くし売りも?

 今週も米国・イランの和平合意期待やAI関連企業の好決算発表で最高値更新相場が続きそうです。


 先週もAIサーバーの電子回路に不可欠な積層セラミックコンデンサー株が大盛況になるなど、AI株物色の波は幅広い周辺株に拡大しています。


 そんな中、今週は2025年の年末以降、AI脅威論で産業自体の「死」も取りざたされたソフトウエア関連株が本格的な反転上昇に転じるかもしれません。


 そのきっかけになったのは先週5月27日(水)に米国の企業向けデータベースサービス運営会社スノーフレーク(SNOW)が好決算に加え、AIクラウドビジネスに巨額投資を行うアマゾン・ドット・コム(AMZN)と60億ドル(約9,600億円)規模の業務提携を発表したこと。


 これまで株価下落が続いてきたソフトウエア株が今後は企業向けAIエージェントサービスで重要な役割を果たすという見方が台頭し、スノーフレーク株は前週末比48.4%高と急騰。


 ソフトウエア大手のオラクル(ORCL)も17.5%高、ITインフラ世界首位級のIBM(IBM)も17.3%高。


 AI向けサーバー事業が絶好調で好決算を発表したデル・テクノロジーズ(DELL)が32.8%も急騰するなど、米国ではソフトウエア株やコンピュータのハードメーカー株が上昇しています。


 今週も日本時間6月2日(火)早朝にデルと同業のヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が決算発表。


 4日(木)早朝にはAI半導体でエヌビディアのライバルと目されるブロードコム(AVGO)や企業向けクラウドプラットフォーム運営のクラウドストライク・ホールディングス(CRWD)の決算発表も予定されているだけに期待が持てそうです。


 日本株では、2026年に入って株価が20%近く下落しているものの、業績自体は今期2027年3月期も最高益更新に期待がかかるNEC(日本電気:6701)や富士通(6702)といった大手IT企業に注目したいところ。


 日本独自のソブリンAI(他国に依存しないAI構築の動き)期待で本格的な買いが入るかもしれません。


 システム構築大手の野村総合研究所(4307)は2026年に入って前年末比16.6%安、中小企業向け業務システムに強く最高益更新が続くオービック(4684)は同19.0%安と、ソフトウエア株は株価に割安感があるだけに注目です。


 2日(火)には、いまや日本のAI人気No.1株として君臨するキオクシアホールディングス(285A)が機関投資家向けの「インベスター・デイ」を開催。


 同社は今期2027年3月期の通期営業利益の市場予想が6兆円に達し、日本一企業の「トヨタ自動車超え」も視野に入るだけに、先週も株価が前週末比14.7%続伸。


 2日の「インベスター・デイ」では今期から株主配当を開始するなど積極的な株主還元策が発表される見通しのため、注目が集まります。


 ただ、同社の株価は2026年に入ってすでに前年末比で6.3倍以上も急上昇。


 ひょっとしたら好材料出尽くし売りで急落する展開にも注意が必要でしょう。


 実際、先週もAI半導体の覇者・米国エヌビディア(NVDA)は2.0%安と2週連続下落。


 日本ではAIデータセンター向け光ファイバーの販売が絶好調で人気株だった古河電気工業(5801)が3.0%安、半導体検査装置メーカーのアドバンテスト(6857)が2.5%安。


 AI株の中でも上がり過ぎた銘柄が売られ、先週のコンデンサー株のように新たに注目された周辺株が急騰する、激しい資金循環が発生するかもしれません。


 ここ2カ月以上、あまりにも楽観的なAI株の強気相場が続いていることもあり、何らかの悪材料を口実に利益確定による相場急落が発生する可能性も徐々に高くなっています。


注目イベント:米国の5月雇用統計など重要雇用・景気指標

 今週は米国で1日(月)夜の全米供給管理協会(ISM)の5月製造業景況指数を皮切りに、5日(金)の5月雇用統計まで重要な雇用・景気指標の発表が相次ぎます。


 先週発表された4月の米国個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)は前年同月比3.8%の高い伸びとなりました。


 しかし物価高の元凶である原油先物価格が米国とイランの和平合意期待で87ドル台まで急落したこともあり、株式市場に対する悪影響はほぼありませんでした。


 5日(金)発表の雇用統計に関しては、前回4月分の非農業部門雇用者数は前月比11.5万人増と予想の6.2万人増を大幅に上回り、今回5月分も9.2万人増と堅調な増加が見込まれています。


 イランとの戦争でも米国の雇用・景気指標が落ち込まず堅調なことが判明すれば、最高値更新が続く米国株にとってポジティブといえるでしょう。


 ただ、好景気や雇用拡大によるインフレ加速懸念で、先週4.4%台まで低下した米国の10年国債の利回りが再上昇に向かうようだと、株価にとっては逆にネガティブです。


市場別マーケット動向

日本市場

 先週は、米国とイランの和平合意期待もあり、大型の景気敏感株の影響力が強い東証株価指数(TOPIX)もイラン戦争開戦前の2月27日につけた最高値を更新しました。


 しかし、2026年に入ってからの上昇率はAI株の影響力が顕著な日経平均が前年末比31.8%高に対して、16.1%上昇と約半分程度。


 株価が突出して急騰しているのはAI半導体株だけという状況に変化はありません。


 ただ、先週は中東情勢緩和や日本の10年国債の金利が2.65%台まで急落したこともあり、原油価格の落ち着きや金利の低下が業績回復に貢献する空運業や建設、ゴム製品、自動車など輸送用機器セクターも大きく上昇。


 今週、トランプ米大統領がイランとの和平合意の最終決定を下すようなら、原油の9割を中東からの輸入に頼り、ホルムズ海峡開放が業績回復に日本の製造業の株価が全面高に向かう可能性もありそうです。


 その場合、急騰が続いたAI関連株は一休みの調整期間に入る恐れもないとはいえません。


米国市場

 米国でも主要三大株価指数が軒並み最高値を更新し、S&P500種指数の年間上昇率は前年末比10.7%に達しています。


 AI半導体株が多数組み入れられたナスダック総合指数は前年末比16.1%の上昇。


 そんな米国市場ですが、6月は宇宙関連株が盛り上がる可能性も高く、当面、上昇がとどまる気配はありません。


 日本でも放送・通信衛星を運営するスカパーJSAT(9412)が前年末比2.2倍以上も上昇するなど、宇宙関連株はAI株に次ぐ人気を博しており注目のテーマです。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の騰落率 ポイント NEC(6701) ▲0.05% 2025年の高値6,194円から現状は4,000円台で低迷。今週は回復? キオクシアHD(285A) +14.7% 2日(火)に機関投資家向け説明会。株主配当開始で続伸? ブロードコム(AVGO) +7.9% 4日(木)早朝に決算発表。
ライバル・エヌビディア以上の上昇続く? クラウドストライクHD(CRWD) +10.2% 5月に前月末比64%高。
4日の決算発表で続騰?

先週までの振り返り:コンデンサーや電源装置などAI周辺株が大盛況!原油安で空運株も上昇

 先週の日本市場では、AIサーバー向け需要拡大が続く電流制御の積層セラミックコンデンサー株という「新たな主役」が市場を席巻しました。


 今期2027年3月期の営業利益予想が前期比50%増と実際の業績も好調な太陽誘電(6976)が実に62.8%高。


 車載用や太陽光発電向け以外にAIサーバーのアルミ製電解コンデンサーも製造する日本ケミコン(6997)が51.0%高。


 自動車メーカーのホンダ系列で、AIデータセンター向け蓄電装置の量産化に乗り出している武蔵精密工業(7220)が70.5%高。


 従来、太陽誘電や村田製作所(6981)はアップル(AAPL)のiPhoneなどスマートフォン関連、武蔵精密工業は自動車関連株と見なされていましたが、新たなAI関連株の「発掘」が一大テーマになっている株式市場のある意味、「掘り出し物」銘柄として急騰しました。


 また、原油価格の下落でANAホールディングス(9202)が7.4%高となるなど、ジェット燃料の価格低下が収益増に結びつく空運業が業種別上昇率2位に浮上。


 米国・イランの和平合意でホルムズ海峡が開放される期待が高まったため、原油由来の原材料を使っていることで3月以降売り込まれてきたゴム製品、化学、繊維製品、建設業、輸送用機器セクターが業種別上昇率上位に躍り出ました。


 逆に日本最大の原油採掘企業INPEX(1605)が6.1%安、長期金利の低下が収益伸び悩みにつながるみずほフィナンシャルグループ(8411)が3.5%安となるなど、鉱業や銀行セクターが業種別下落率下位に沈みました。


セクター・業種別騰落率(5月29日)

銘柄 騰落率 備考・要因 金属製品 +9.26% 半導体ウエハ製造のSUMCO(3436)の25.7%高が貢献 空運業 +6.83% 原油価格下落や
中東の航空需要復活期待 電気機器 +5.98% 村田製作所(6981)、TDK(6762)など
コンデンサー株急騰 銀行業 ▲3.05% 長期金利低下で利益確定売り 鉱業 ▲5.86% 原油価格下落で続落

(トウシル編集チーム)

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